2024年11月13日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2024年11月11日

 企業レベルで見ると、特定の産業分野や企業を狙い撃ちに法案がどこまで成立するのかも注目される。24年はさまざまな中国企業排除法案が米議会に提出された。

 産業別企業別の中国企業排除の動きは半導体産業については日本でも大きく報じられているが、それだけではない。中国のバイオテクノロジー企業を排除するバイオセキュア法、ドローン大手DJIを狙い撃ちにしたドローン対策法、外国バッテリー依存脱却法、農業保護法など目白押しだ。

 大統領選に加え議会選挙を行われたため、共和民主両党の議員たちは競うように対中強硬姿勢をアピール。そのため中国企業排除の法律が次々と提出され審議されたという背景がある。

 選挙が終わった後は法案成立にこれまでのモチベーションは働かないだろうが、すでに審議が進んでいる法案は多く、これらの法案が成立するのか、最終的にどのような内容になるのかが注目される。関税のように米中貿易全体に大きな影響を与えるものではないにせよ、個々の企業にとっては生死にかかわる問題となる。

外交面では中国に追い風か

 一方で、トランプ2.0が外交面で中国にとっての追い風になるともささやかれている。予測不能のトランプ外交によって米国とその友好国の関係に亀裂が生じ、中国がつけいる隙が生まれるという観測だ。

 特に台湾問題に関しては、経済面で中国に譲歩させる代わりに米国による台湾支援を縮小するというディールがありうるのではと見る向きもある。台湾世論にも、中国との衝突に際して米国は支援してくれないと見る疑米論が再燃する可能性は高い。米国の支援が得られないのであれば、中国への譲歩やむなしという意見が勢いを増すだろう。

 また、欧州と米国の関係も注目される。ロシアのウクライナ侵攻によって、権威主義体制への抵抗の機運が高まり、欧州も米国と協調して対中姿勢を厳格化した。ここがゆるむとなれば、中国にとっては“西側陣営”切り崩しの好機到来と見えるだろう。


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