2024年11月18日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年11月18日

韓国の対抗措置

 韓国は、朝露の軍事緊密化に対して対抗措置を検討するとしている。何ができるか。

 第一は、ウクライナへの非軍事的支援や非殺傷武器供与の強化(ウクライナは防空システムの供与を望んでいるようだ)。第二は、今まで禁止してきた殺傷武器の供与に踏み切るかどうか。

 尹錫悦大統領は11月7日の記者会見で、「北朝鮮軍が関与する度合いに応じウクライナに兵器を支援する可能性を排除しない」、「人道主義、平和主義の観点からの支援から、今後は北の軍の関与の度合いによって段階別に支援方式を変えていく」、「もし兵器支援をすることになれば、まずは防衛用兵器からだと思っている」、「韓国の安保に致命的な脅威になり得る敏感な軍事技術の移転があり得ることに加え、時間が経つにつれ北の特殊部隊が現代戦に対する経験を積むことになれば、韓国の安保に致命的な問題になりうる」と強調した。

 なお、大統領府国家安保室長・申源湜は11月1日、韓国軍のウクライナ派兵の可能性について問われ、「まったく考えていない」と発言している。ウクライナには当面殺傷武器供与の可能性を維持するとともに、半島正面では米国等と連携して抑止力を強めることが相当だろう。

 先日の韓国情報・国軍代表団の対北大西洋条約機構(NATO)協議開催も良いことだった。韓国内での対北、対露反発が高まっているようだ。

 しかし、余り過剰に反応しないことも重要である。ウクライナで韓国が反応すれば、北は直ちに朝鮮半島で反応して来る。

 米韓等の疎通の維持が非常に重要だ。韓国は、米国が「北朝鮮の非核化」から「北朝鮮のリスク管理」に軸足を移すのではないかと敏感になっている。10月31日にワシントンで開催された2+2の声明について、韓国メディアは、米国は「朝鮮半島の完全な非核化」と言い、「北朝鮮の完全な非核化」と言わないことを指摘、双方に微妙な違いがあると述べている。

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