2024年11月21日(木)

医療神話の終焉―メンタルクリニックの現場から

2024年11月21日

立ち上がって、歩かないと、休んだことにならない

 弁護士の仕事は、デスクワークだけではない。裁判所に行く、関係者に会いに行く、他の事務所に行く、役所に行くなどの活動も仕事の一部であろう。

 歩くこともまた、弁護士の仕事である。となると、一日の仕事時間のなかに、デスクワークと外回りをうまく混ぜることも有効である。

 実のところ、長時間のデスクワークが疲労をもたらすのは、頭脳労働そのものによるのではなく、むしろ、同じ姿勢を続けることによる筋肉の固まりと血流の悪化による。ヒトの身体は、長時間にわたって同一姿勢を維持するようにはできていない。

 小中学校の授業と休み時間のペースを思い出してほしい。あのころは45ないし50分の授業の合間に、5ないし10分の休憩があった。チャイムが鳴って、先生が教室を出てからも椅子に座ったままの生徒は一人もいなかった。

 皆、立ち上がって、トイレに行ったり、隣の教室に遊びに行ったりして、動いていた。わずか10分の休み時間を惜しむように、校庭で遊んでいた生徒もいたはずである。

 働き盛りの弁護士も、1時間に1回は離席する機会をもってほしい。座位生活の弁護士にとって、休むとは立ち上がって歩くことである。座ったままでは、休んだことにならない。

ブレイン・フォグ対策にパワーナップを!

 夜、7時間眠って、適度に休憩をとっても、昼下がりにブレイン・フォグが発生するかもしれない。

 ヒトの脳は、長時間の覚醒に耐えられない。昼下がりに覚醒レベルが下がって、パフォーマンスが急低下する時間帯が来る。このとき、我慢しないで、思い切って脳の覚醒レベルを下げてしまう。つまり、昼寝をすることは、理に適っている。

 午後の仮眠は、心理学者のジェームス・マースが「パワーナップ」という呼称を付けて以来、産業界では推奨されており、ブレイン・フォグに対する根本的な解決になりえる。眠気と戦っても得られるのはぼんやりした時間だけであり、その時間を仮眠に充てれば、それで失った20、30分は簡単に挽回できる。昼休みにソファーで横になる、机上で卓上枕・アイマスクを用いて眠る、自動車通勤なら駐車場の車の中で仮眠するなど、方法はいくらでもあろう。


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