節酒・断酒も対策になる
アルコールは睡眠の質を低下させる。酒を断つ、ないし、減らせば、睡眠の質は上がり、翌日の覚醒レベルは上がって、パフォーマンス向上が期待できる。
翌日、締め切りのタイトな書面を仕上げなければならない、裁判所に行く、重要な人物と会うなどの大きな仕事が来ることがわかっているのなら、酒を減らす、ないし、飲まないようにするのは、賢明である。大きな仕事が終われば、酒はいつでも飲めるのだから、勝負の前は断つべきであろう。
先発投手が登板前夜に大酒を飲むはずがない。大谷翔平選手なら、当然のように断酒して、睡眠の方を重視するはずである。
士業とつきあう精神科医として
筆者は、法律事務所の多い町の診療所に、非常勤医として勤めているため、士業の人を多数診ることになった。弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、司法書士などである。
一方で、精神医学関係の医療訴訟、遺言証書をめぐる民事事件などで精神医学意見書を書く機会も多い。弁護士の先生たちとは、何度も共同作業を行ってきたが、皆、ほれぼれするほどの明晰な頭脳の持ち主で、一緒に仕事をさせていただいて学ぶところが多い。
それとともに、このハイスペックな人たちも、健康管理に関しては、よきコーチを持っていないようだということもわかってきた。
そんなわけで、今回は、弁護士のメンタルヘルスについて論じた。その他の士業については、仕事の内容によって差異もあろう。ただ、おそらくはメンタルヘルスについては専門職に共通するものがあるはずなので、参考にしていただければと思う。