2024年11月21日(木)

医療神話の終焉―メンタルクリニックの現場から

2024年11月21日

脳のコンディションは一日中いいわけではない

 ブレイン・フォグだと、優秀な頭脳も十分に働かない。偏差値が一時的に下がるようなものである。弁護士が有能なのは脳が快晴の場合であって、ここに霧がかかれば、ハイスペックの持ち主も「タダの人」になる。

 しかも、脳は、すぐに霧がかかる。寝不足だと霧がかかる。疲れがあると霧がかかる。二日酔いでも霧がかかる。体を動かさないと、それもまた霧がかかる原因となる。十分眠って、疲労もなく、二日酔いでもなく、適度に休憩を取ってストレッチをしたりなど工夫していても、それでも一日のなかで脳に霧がかかる時間帯がある。

脳のコンディショニングのための睡眠

 知的作業中に脳の状態をピークに持っていくにはどうすればいいか。そのためには、ドジャースの大谷翔平選手並みのコンディショニングが必要となる。

 大谷選手のように一日10時間も眠る必要はない。しかし、大谷選手がアスリートであるように、自身に対してリーガル・アスリートという自己規定を与え、睡眠をコンディショニングの中心に据えて、頭脳のパフォーマンスの最高潮を、知的作業のプライムタイムにもってくるように、意識しなければならない。

 弁護士もこの惑星で生まれている。この惑星は24時間周期で自転する。この自転周期は、地球の生物すべてにインストールされている。したがって、脳のパフォーマンスも24時間周期でアップダウンする。

 昨日集中していた時間帯に、今日も集中することができ、昨日ぼんやりしていた時間帯に、今日もぼんやりしてしまう。一昨日、昨日と昼前まで眠っていた人が、今日になったら、午前中からハイ・パフォーマンスを発揮できるなどということは、あり得ない。気合いを入れようとしても無駄である。

 したがって、休日も含めて、起床時刻を固定すること、その17時間後に眠るリズムを確立すること、そして、17時間の覚醒時間中に知的作業に集中する時間帯をある程度一定にすることが必要となる。たとえば、6時ないし7時に起床し、朝食と移動を経て、9時から集中して仕事して13時になったら昼休みを取る。その後、14時から17時まで集中して仕事をするなどのパターンである。

 夜の睡眠は、7時間近くは必要だと思ってほしい。脳は、7時間充電して、17時間放電するバッテリーである。寝不足はブレイン・フォグの最大の原因であり、寝ぼけ眼なのにハイ・パフォーマンスを発揮するなどはありえない。


新着記事

»もっと見る