2024年12月5日(木)

偉人の愛した一室

2024年11月23日

洋間には成婚当時の写真やこの家で夫婦が過ごした当時の写真が飾られている

 離別中に慧生と死別し、日本での人生を選んだ嫮生とも別れ、浩は名誉と地位を回復した溥傑と中国で添い遂げる。二人は国交回復後の74(昭和49)年に来日し、さらに、浩が旅立った3年後の90(平成2)年、溥傑は再び日本を訪れ、この稲毛の旧宅に足を運ぶ。この折、溥傑に付き添った嫮生が裏庭に白雲木の苗を植えた。この名木は成婚に際し、浩が貞明皇太后より種を賜ったもの。かつては宮中にしかなかった珍しいもので、春には白い花を咲かせ甘い香りを漂わせる。

浩が貞明皇太后より種を賜った白雲木の孫木。この木からできた種は観覧者にも渡している

 縁先に立って海を眺めた途端、溥傑は深い哀切の情に襲われ、亡き妻に語りかけるように二編の詩を残す。

 ──想い出すとつい我を忘れてしまうほど幸せだった──

 満洲の厳しい自然に育った溥傑には、稲毛の穏やかな風光と新婚生活は、生涯忘れえぬものだった。

庭の一画に増築されたとされる数寄屋風の離れ
床の間に夫妻の半生を描いたドラマのポスターが飾られていた
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Wedge 2024年12月号より
令和のクマ騒動が人間に問うていること
令和のクマ騒動が人間に問うていること

全国でクマの出没が相次ぎ、メディアの報道も過熱している。 しかし、クマが出没する根本的な原因を見落としていないだろうか。人間はいかに自然と向き合い、野生動物とどう生きていくべきか。人口減少社会を迎える中、我々に必要とされる新たな観点を示す。


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