世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月20日

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 鄧小平が「韜光養晦」と言ったのは、中国が安心して力を大っぴらに使えるようになるまでのことであった。中国がすでにその時点に達したかどうかは議論の余地のあるところだが、「偉大な野心」には問題がある。「偉大な野心」は抑えることもそこからひきかえすことも難しい。今後中国を扱うのは今より容易になりそうもなく、むしろもっと難しくなるのではないか、と論じています。

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 中国にとって鄧小平の「韜光養晦」が過去のものになったのは明らかです。論説は直接は触れていませんが、その背景に、まず中国の経済大国化、軍事大国化があるのは、言うまでもありません。

 論説は、なぜ中国がここにきて防空識別圏の設定という強硬姿勢をとるに至ったかと問うていますが、防空識別圏の設定は、東、南シナ海での覇権を確立するという従来からの戦略の一環と考えられます。

 論説は、防空識別圏設定の最大の理由は地域での支配的地位を確立するという中国の野心である、と述べていますが、中国は常にこの野心を持っていたのであり、中国の力が強まる一方で米国の力が弱まってきた、少なくともそう見えたので、その野心を行動に移したと見るべきでしょう。

 ただ、中国が防空識別圏の一方的設定という挑発的行動に出たことは、米国の反応を過小評価した結果である可能性があります。また、中国が米国の力の衰えを不可逆的なトレンドと考えているとすれば、読み違いである危険があります。米国の力の衰え、つまり米国衰退論は、これまでにも何回か唱えられ、その予測は、当たったためしがありません。

 今回の米国の力の衰えには、多分に一時的要因もあります。イラク戦争、アフガン戦争経験からくる米国民の対外介入疲れ、オバマ政権の姿勢などです。これらは、米国の指導者が変わり、時間がたてば、また変わる可能性があります。

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