2025年1月9日(木)

脳が長持ちする会話

2025年1月7日

クイズ形式で会話の安全エリアを作る

 雑談が難しく感じるのは、茫漠とした平野にいる感覚があるからでしょう。その茫漠とした平野のどこかに地雷が埋まっているかもしれないわけです。ならば、地雷に怯えるよりも、自分で安全なエリアを作ってしまいましょう。会話の「枠」のようなものを設定するのです。

 休日の過ごし方を話題にしたいならダイレクトに尋ねず、「急に1週間休みがもらえて旅行するなら、国内か海外かどちら派ですか?」という質問に転換してみます。「インドア派ですか? アウトドア派ですか?」という手もあります。

 道を歩いていて、犬の散歩とすれ違ったとしましょう。一緒にいた上司が犬に目をやるようなら、「ペット飼っていますか?」ではなく、「犬派ですか? 猫派ですか?」と質問してみます。

 簡単な二択問題を設定するわけですね。

 とりあえず二択で答えるのであれば、聞かれたほうもさほど負担にはならないでしょう。以前、一緒に道を歩いていた仕事関係者がすれ違う犬に視線を送るので、この質問を投げかけてみたら、「犬派ですけど、猫も3匹います」という答えが返ってきたことがあります。

 こうして相手が自己開示してくれたら、そこからは会話がスムーズになります。こちらが黙っていても相手が大好きなペットの話を次々としてくれますし、こちらからも質問しやすくなります。

 相手のことを知りたいとき、「○○って好きですか?」「□□ってどう思います?」と聞くと、聞かれたほうは自分の考えを言葉にしなければならず、踏み込まれた印象を受けてしまいます。どんな話題にも地雷が潜んでいる可能性はあり、こちらが全く想像しない相手のコンプレックスを刺激してしまうこともあります。

 しかし、「どちらですか?」であればクイズっぽい印象があり、気軽に答えやすくなります。「イタリアンと中華ならどちら?」と聞かれて、「イタリアン」と答えたせいで人から下に見られるということも、逆に尊敬されるということもないでしょう。

 雑談のプレッシャーを取り除く方法を一つ知っておくと、日常会話がぐんとラクになります。

脳が長持ちする会話
大武 美保子:著 ウェッジ
定価:1,870円(税込み)
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