九州各地で、小分け案件は散見された。やたら電柱が多いので素人でも一目でわかる。数十の分割はざらにあった。小分けにすると、事業者が負担すべき柱上変圧器等の系統対策コストが需要家負担になってしまう。
九州のあちこちに出没する、50kWごとに区分けされたメガソーラー。電柱がひとつの区画ごとに建てられているので素人でも分かりやすい。なかには、区画ごとに分譲しているものもある。50kW未満であれば「低圧」として送電線に連系できるので、制度上、費用が安くつき、電力会社との事前調整も省略できる
空枠取りは、経済産業省が重い腰をあげてようやく昨年秋から実態調査を始めた。発電に必要な設備を発注していないなど悪質な業者は認定を取り消すという。しかし、あまりに数が多いため、対象は400kW以上の設備だけだ。小分けは調査すらしないという。「一度出した設備認定を取り消すわけだから、あるラインで線引きし、客観的かつ同じ基準で厳密な調査を経る必要がある。今回の調査で400kW未満など他のことには手を出せない」(村上敬亮・資源エネルギー庁新エネルギー対策課長)。
ラベル張替でも国産パネル?
事業者だけではない。パネルメーカーもグレーな問題を抱えている。
FIT法は、当時野党の自公によって3年の促進期間を設ける修正がなされ、世界一高い買取価格が実現したわけだが、その背後には、国産パネルメーカーに対する支援、つまり産業政策としての狙いがあった。「欧州のように中国製パネルが席巻することのないようにしたい」という言葉は、法案に関わった多くの議員から聞かれた。
しかし現実はどうか。国産イメージが強いシャープやパナソニックですら、実は海外メーカーにOEM(相手先ブランドによる製造)生産させ、国内に輸入してブランドだけ自社のものとする、いわゆる「ラベル張替」を相当量実施しているという。特に、メガソーラー向け、多結晶型では海外メーカー産が多い。太陽光発電協会(JPEA)は「国産ブランド比率75%」と喧伝しているが、「純粋な国産の比率は3割程度」(エネ庁)だ。