「ここの大学のグラウンドは直線で70mしか取れないし、僕は指導者の下で練習したことがありません。だから、環境が整えばまだ伸びる要素があるはずなんです。気持ちが固まったのは東京パラリンピックの開催が決まったことでしょうね。もっとチャレンジしたいという気持ちが増してきて、競技者として働きながら練習ができる環境でやりたいと思ったのです。33歳になる東京大会が集大成だと考えています」
自分を信じてどれだけやれるか
その東京大会に向けて気持ちを聞くと、
「自分を信じてどれだけやれるかということです。少し前までは自分のことが信じられなかったんです。でも今はきちんとしたトレーニングを納得して積み重ねればそれが希望になると思うようになってきているんです。やれるだけのことをやるからこそ、自分を信じることができるのだろうし、希望が持てるんでしょうね」
「誤解を恐れずに言うと、一般社会は障害者スポーツに対して観る目が甘すぎると思います。僕たち視覚障害者は目が悪いだけで足が動かしにくい病気でもなく、身体能力的に劣っているわけでもない。線は見えているから競技をする上で何もハンデに感じることなどありません。○○大会の優勝とか、日本代表とか、分かりやすい実績や肩書きで評価されてしまいがちですが、実際には過大評価されている場合もあると思うんですよ」
「僕は日本代表というメンタリティとか重みを知った上で代表になりたいと思っています。覚悟と練習を積んで自分が恥じないよう世界で通用する選手になりたいと思っています」
2020年東京に世界がやって来る。
その大舞台に向かって決して二つとないアスリートたちの物語が始まっている。
*掲載直前、小西選手から就職が決まったと嬉しいご連絡をいただきました。「今の自分には、もったいないぐらいの条件でしたので、結果でこたえます」と力強く決意を述べてくれました。世界の大舞台を目指して頑張ってほしいと願っています。(編集部)
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