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2014年3月11日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 政局の混乱は、この国の最も重要な産業の一つ、軍産複合体に大きな衝撃をもたらし、中国やロシア、インド、パキスタン等の国との兵器取引に影響を与えるだろうか。中国の専門家は、中国とウクライナの間には長期的な戦略上の利益衝突がないため、ウクライナでどの政党が政権を握っても両国の協力関係には大して影響がないだろうとしている。

 中国とウクライナの軍需産業協力は「ワリヤーグ」(空母)が象徴する大型プロジェクトのほか、艦船、戦車、航空機エンジンなどの分野で非常に密接である。ウクライナが中国に輸出する軍事技術は約30種類あり、それは航空母艦、大型艦船等の動力系統、大型輸送機の設計から超音速高級訓練機、戦車エンジン、対空ミサイルや高山山地の活動に適したヘリコプターのエンジンにも及ぶ。

 「ウクライナ特殊技術輸出会社」は北京やイスタンブール、バンコクに代表事務所を置いて武器の輸出入貿易を請け負っている。2012年の珠海での航空機ショーでは同社のブースは人気を博した。同社は中国側と4隻の大型ホバークラフトの契約を結び、1隻目は既に中国側に引き渡された。(残りを中国側に引き渡すべく港で準備が進められているという報道が3月に入ってからあったばかり:筆者)

「ミニロシア」と呼ばれる
ウクライナの軍需産業

 ウクライナの軍需産業がこれほど発展している理由は、同国がソ連時代の約35%もの軍需産業能力を引き継いだことが大きい。大型の高速戦闘機を除けば、大陸間弾道ミサイルさえも含むあらゆる兵器が注文リストに見られ、軍需産業分野での「ミニロシア」と呼ばれるほどだ。

 1991年に独立してから、ウクライナは世界第6位の武器輸出国となり、50あまりの国と取引関係を持っている。ウクライナは2013年にはもともと米国から輸入した武器が主であったタイに121輌の装甲車と50輌の戦車を売りつけた。1992年から2013年にはウクライナの軍需輸出額は70億ドルを超えたが、パキスタンや中国がその対象国だった。

 ウクライナの政変がもたらす影響について中国社会科学院の姜毅研究員は、『環球時報』紙のインタビューに答え、ウクライナと中国の間には現実的な利益の衝突はなく、長期的利益や戦略的利益面でも衝突はないと述べている。いかなる党派が政権を掌握しても経済発展が必要であり、軍需産業はウクライナが国際競争力を持つ分野なので、ウクライナと中国が提携するプロジェクトに大きな影響はないだろうと予想している。

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