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2014年3月11日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 中国のミサイルが赤外線誘導からレーダー誘導まで飛躍したのはウクライナによる支援が欠かせなかった。中国はウクライナのレーダーミサイルを改良し、多目標攻撃能力と全天候作成能力を備えた中距離ミサイルを開発した。

 航空業界では2008年に中国航空工業第二集団とアントノフ社が北京に研究開発センターを設立して輸送機の研究開発に着手した。2011年に陳炳徳総参謀長がウクライナを訪問し、軍事技術協力のメモランダムに調印した。

* * *

【解説】

 ウクライナの騒乱に中国が高みの見物を決めこんでいる原因の一つには誰が政権を取っても欧州とロシアの狭間で微妙な舵取りを求められるウクライナにとって中国が大切であることはどの政権でも変わらないという自信があるようだ。そしてもう一つは本記事で紹介したようにウクライナからはある程度の技術はほとんど吸収したので今後の兵器開発には大きな影響がないという安堵ともいえるような感覚があるのかもしれない。

現状は「様子見」が現実的か

 もちろん中国にとってウクライナとの関係が軍需産業ばかりの側面で語られていいのか、という疑問はあろう。「高みの見物」を決め込んでいるのは、ロシアやEU、米国との関係を壊したくないという配慮もあるだろうし、現状では様子見するしかないという現実的考えがあるかもしれない。他国への「内政不干渉」原則を掲げている道義的側面もある。

 また中国にとって体制維持が重要であるから、北アフリカ・中東の政変がジャスミン革命と称されて中国への波及の有無が注目された時のようなことは回避して中国に政変が波及することは何としてでも避けるためにロシアと米国、EUがせめぎあうような地域紛争には触れないのが無難だという考えがあるかもしれない。

 天然ガスや小麦やトウモロコシといった穀物取引も現実的問題として存在するが、穀物取引についてはここ数年本格化し始めたばかりで中国の食糧やエネルギー安全保障を揺るがすほどではない。

 ウクライナとの協力関係がどのように推移するか今後、引き続き注目する必要があるが、今月末に予定されている習近平主席による欧州(オランダ、ドイツ、フランス)訪問でも直々に何らかの態度表明がされるかもしれない。


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