2024年12月4日(水)

日本の漁業は崖っぷち

2014年3月18日

 過去のノルウェーのクロマグロの漁獲推移をみると参考になります。ノルウェーでは1950~1960年にかけて多い時には年間で8,000~10,000トンものクロマグロを漁獲していたのです。しかし、乱獲がたたり水揚げは減少。1986年からは禁漁しています。その原因として①餌のニシンが減少した(これも乱獲が原因。漁船を減少させ、かつ資源管理を実施)②漁業機器と技術が発達した③ノルウェーに回遊する前に漁獲されてしまった等が考えられるそうです。

 ノルウェーと日本の違いは、漁獲の減少を乱獲が原因と認識し、資源管理に向かったことにあります。ニシンの資源も回復までに20年以上かかっていますが、ニシンの資源がノルウェーの水産業を支えている現状を見れば、我慢した甲斐があったことは自明です。北海道のニシンはTACもないため1957年にほぼ姿を消してしまい、50年以上経っても資源はもとの数十万トンには戻りません。一方、ノルウェーでは、今度はクロマグロが資源回復した魚のリストに加わるかも知れません。

店が「売る、売らない」を決める

 太平洋のクロマグロを守るために消費者としてできることがあります。それはマグロの未成魚であるメジマグロを食べないようにすることです。漁業先進国では、資源管理されていない水産物は、マーケットから排斥されていく傾向があり、持続可能な水産物かどうかが、店が「売る、売らない」を、消費者が「買う、買わない」を判断する重要な要素になってきています。

 そして消費者も自ら、Seafoodwatch 米国モントレー水族館(http://www.seafoodwatch.org/cr/SeafoodWatch/web/sfw_factsheet.asp)、ocean wise カナダ バンクーバー水族館(http://www.oceanwise.ca/seafood)といったサイトから手軽に情報を取りチェックしています。欧米では、ウォールマート(米国)、センズベリー(英国)といった大手量販店が、持続可能な水産物を扱うことに積極的で、漁獲する側、水揚げされた魚を加工する供給者サイドにとっても、資源管理を厳格に行って、それが水産エコラベル等に認可されていることが、絶対条件となってきています。店で販売されない魚の価値は低く、儲けにかかわってくるので、供給側は資源管理に対して真剣です。


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