Wedge REPORT

2009年5月20日

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 2005年に村主導で立ち上げた川上村農林業振興事業協同組合(理事長・由井明彦氏)では最大規模となる400人強の研修生を受入れる。設立時に加入する農家は20戸だったが今では約10倍に増え、村の約3分の1の農家が加入するまでに膨らんだ。

 短期間で研修生の受入れが急増している最大の理由は、日本人だけでは収穫期の人手を安定的に確保できないからだ。これまで学生や短期アルバイトを頼りに収穫期を乗り切ってきたが、「10年ほど前から集まりが悪くなり、最近では求人広告に応募が無いことも珍しくない」(由井理事長)。機械化が難しい高原野菜の栽培は体力的にきつく、半月もたない者や脱走する者が多く、農家にとって日本人は経営の大きなリスク要因となっている。

 その点、外国人研修生たちは「ハングリー精神を持っており"3K"に耐え作業に打ち込んでくれる」と農家から一気に信頼を得てきた。

 受入れ農家は研修生に対し月8.5万円の生活費相当の研修手当を支払い、住居も用意する。渡航費や受入れ機関などへの手数料、保険料などを合わせると、繁忙期の4カ月間に日本人アルバイトを雇うのにかかる約100万円とあまり変わらず、「労働力の確保が目的で、安い人件費が目的ではない」(由井理事長)という。さらに組合の決まりにより米を月20kg提供し、食費を切り詰める研修生の健康にも配慮する。「食べないと力は出ない。今年は組合でも好物の豚足などを安く仕入れ研修生に振る舞う」(鷹野憲一郎専務理事)と「食」のサポートに力を入れる。

 他にも、村営のケーブルテレビで中国のニュースや娯楽番組などを流したり、日中の文化交流に力を入れる歌手のコンサートも催したり、と村も総力を挙げて研修生の受入れを支援する。これは、「農業がこけると村がこける」(由井理事長)という川上村の基盤を外国人研修生が支えているからに他ならない。

 こうして受入れ現場で頼りにされる外国人だが、肝心の受入れ制度はどうなっているのだろうか。折しも、今国会では出入国管理法改正案が審議中。新たに在留カードを発行して外国人の情報を継続的に把握することや、適法に在留する外国人の在留期間の延長(3年→5年)、研修生・技能実習生の保護の強化などが盛り込まれている。関心は低いが、非常に重要なテーマである。受入れ制度の問題点については本稿(その2)で言及したい。

◆不況でもモテモテの外国人労働者(その2) はこちら 

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