これを見る限りでは、全体として予想を大きく超える中身は見当たりません。ただ、王と張が互いに相手を「主委」、「主任」と呼び、呼称について一歩踏み込んだ形をとり、王が南京中山陵での献花にあたり、「中華民国」という、これまで中国においてタブーとされてきた国名に言及したことは注目される。
ただし、依然として、今後とも最も強い関心の的となるのは本年10月のAPECサミット(北京)の際に馬英九総統がこれに参加し、馬=習会談がおこなわれるか否かという点でしょう。もし馬英九がこれに参加するとして、その際、その肩書きを何とするか、同床異夢の「92年コンセンサス」のままで、台湾の総統の訪中が可能か、など政治協議には多くの難問があり、台湾にとってのみならず、中国にとっても妥協しすぎた場合のリスクを覚悟せざるを得ないでしょう。
また、中台間の「和平協定」とは、突き詰めれば、米国の「台湾関係法」により、台湾が購入している兵器の購入を停止することに帰着すると思われます。その意味でも中台間の「政治協議」の成り行きは米国、日本にとって格別の要注意事項であることに変りはありません。
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