野球専門サイト「Full-Count(フルカウント)」は、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏が東京シリーズの収益として3500万ドル(約52億円)に達すると見込んでいるとした米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」の記事を紹介。TBSの情報番組「ひるおび」でも、関西大学の宮本勝浩名誉教授が「カブスとの試合、それから阪神、巨人の試合を合わせると、約40億円の経済効果をドジャースはつくり出す」と試算した。
メジャー各球団の主催試合は原則、それぞれの本拠地で開催する。今回は2試合ともカブスのホームゲームとして扱われているが、主催はMLBとMLB選手会、日本野球機構(NPB)、読売新聞社。産経新聞によれば、MLBはこのシリーズで22社とスポンサー契約を結び、協賛金の規模は昨年の韓国開催時の約240%増となったといい、法人相手にもファンなどの個人消費者を相手にも、メジャーが莫大な収益を挙げたことになる。
興行の打ちやすい日本
そもそも、メジャーリーグの本来の開幕時期は3月下旬で、ドジャース、カブス以外の球団は、東京シリーズの期間も開幕に向けた調整としてオープン戦を行っている。両チームは長時間のフライトで太平洋をまたいで往復し、他チームより1週間以上早い開幕にコンディションを合わせる必要があった。
今回は、ドジャースから大谷選手、山本投手、佐々木投手、カブスからは今永投手と鈴木誠也選手の計5人の日本選手が出場した。日本時代にスターだった選手の“凱旋”でもあり、自国開催に向けて早めの調整でも仕上げてくれる信頼感が、日本人3投手の先発につながったとみる。
カブスの今永投手が4回無安打無失点の好投で降板したのも、まだ無理をさせられない事情があった。アメリカに戻って再調整が必要になるものの、プレシーズンの時期における日本での公式戦開催は、メジャーのビジネス的なメリットとしては大成功となったはずだ。
野茂英雄氏がメジャーに挑戦したのが1995年で、今年は日本のトップ選手がメジャーへ移籍する足掛かりとなってから30年の節目を迎えた。その後は日本国内でのメジャーリーグの認知度も高まり、日本での公式戦は、メジャーへ移籍した日本選手の“凱旋”とセットのビジネスとして行われてきた。
最初に行われた2000年こそ日本選手が不在だったものの、04年は元巨人の松井秀喜氏が所属していたヤンキース、08年は松坂大輔氏らのレッドソックス、12、19年はイチロー氏がプレーしていたマリナーズが日本での試合を行っている。
日本出身の選手で現在、人気、実力の両面で特に大きな存在価値を見出しているのが、大谷選手だ。インスタグラムのフォロワー数はメジャー最多の900万人を超え、幅広い業種とのスポンサー契約から、25年は年俸を除いた収入だけで1億ドル(約149億円)を超える見込みだと報じられている。