2025年3月31日(月)

人口減少社会とスポーツと子どもと

2025年2月8日

 今年もプロ野球界からは米大リーグへ移籍するトップ選手が相次ぐ。ロッテからポスティングシステムでドジャースへ移籍した佐々木朗希投手をはじめ、阪神の青柳晃洋投手がフィリーズへ、中日の小笠原慎之介投手はナショナルズへ、そして巨人からも海外フリーエージェント(FA)でエースの菅野智之投手がオリオールズへと、それぞれ海を渡った。

 日本球界にとってトップ選手の流出は懸念されるが、実はメジャーはトップ選手を獲得するだけではなく、野球人口の減少が指摘される日本の子どもたちへ野球の楽しさを伝える草の根活動にも積極的だ。世界各地で開催する「PLAY BALL」と題したイベントには、日本国内でこれまでに2000人以上の子どもたちが参加した。

MLBのトップ選手であるドジャースのベッツ選手が来日し、野球教室に参加した(筆者撮影、以下同)

 日本の大手企業も協賛するプロジェクトは、世界的なファン層の拡大を狙うメジャーの積極的な対日マーケティング戦略の一つにもなっている。押し寄せるメジャーの“波”に、日本球界は“共存共栄”の道を探れるか。

大谷のチームメートが野球教室

 大谷翔平選手の活躍で昨季のワールドシリーズを制したドジャースは、チームメートの認知度も日本で上がっている。その中から、大谷選手を含むチームの「MVPトリオ」の一人、ムーキー・ベッツ選手が1月中旬に初めて来日した。伊藤園の無糖緑茶飲料ブランド「お~いお茶」が米大リーグ機構(MLB)、ドジャースとパートナーシップ契約を結んだことを受け、都内で行われた契約締結の発表記者会見に出席することなどが目的だった。

 そんなベッツ選手は会見翌日の1月22日、東京都内の小学校の校庭に姿を見せた。

 ゲスト参加したこの日のイベントこそが、メジャーが手がける「PLAY BALL」だ。MJBジャパンの報道資料によれば、「PLAY BALL」は、メジャーが世界各地で開催している青少年参加型イベントで、野球が未経験や経験の浅い子どもたちを対象に、野球の基本的なプレーを学ぶとともに、野球を通した心身の発育や友達との楽しみの場を提供している。

 日本国内では2022年からスタートし、昨年も東京など全国5都市で7回開催された。イベントには、数多くの日本出身の元メジャーリーガーに加え、23年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表で活躍したカージナルスのラーズ・ヌートバー選手も参加したことがある。

 昨年12月に東京・新宿で開催された際には、昨季からカブスでプレーする現役の今永昇太投手がゲストで訪れた。「野球をやったことない子どもたち集まれ!」と題し、小学1~3年で野球チームなどに所属していない児童を対象に、抽選で選ばれた約150人がボールと触れ合った。


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