昨季まで日本ハムでプレーし、現在は古巣のブルージェイズのフロントで働く加藤豪将氏は自身のXで、「NPBは長年、日本市場で圧倒的な人気を誇り、圧倒的な地位を築いてきました。一方で、MLBはアメリカ国内でNFLやNBAといった他のリーグとの市場シェア争いを常に繰り広げていて、その競争がイノベーションや大胆な意思決定を促してきました。(中略)そして今、MLBが積極的に国際展開を進める中で、NPBは日本国内ですら競争の圧力を感じ始めています」などと現状を分析した上で、「(MLBのアパレルブランド着用の是非よりも)NPBはもっと大事なことを話すべきではないでしょうか」と投げかけている。
もちろん、日本球界も野球振興には力を入れている。NPBの公式サイトには、小学校で必修科目となっている「ベースボール型」の授業のための教本や、運動好きの子どもが増えるきっかけを作ることを目的とした「やきゅうたいそうだいいち(野球体操第一)」と題したダンスを制作。未就学児から小学生までの子どもたちを対象とした野球体験イベント「キッズボールパーク」も開催するなど取り組んできた。
子どもたちのあこがれの先は
ベッツ選手は「野球があったから(いずれもドジャースのチームメートである)(大谷)翔平や(山本)由伸、それに(佐々木)朗希という新たな友達に出会うことができた」と日米の架け橋となった野球の素晴らしさを語っていた。
かつての野球少年には、日本に応援したいチームがあり、あこがれの選手がいた。こうした選手を応援する延長で、メジャーの野球に関心が向けられていった。
日本球界にとって、トップ選手の流出よりも、子どもたちのあこがれの眼差しが最初からメジャーだけに向いてしまうことのほうが深刻かもしれない。ファンの心情を縛ることができない自由市場の中で、メジャーとの共存共栄の道はどうすれば探れるのか。厳しい舵取りが迫られる中、3月にはドジャースと、鈴木誠也選手や今永投手が所属するカブスによる開幕戦が東京ドームで開催される。