2025年4月24日(木)

人口減少社会とスポーツと子どもと

2025年2月8日

バットを持つ手から指導 

 ベッツ選手が参加した太田区立松仙小学校でのイベントでは、児童およそ60人と交流した。晴天に恵まれた青空の下、イベントの目玉はベッツ選手が投げるボールを3球ずつ打てるという夢のような機会だった。

 野球経験がない児童が多く、バットを持つ手が逆だったり、スイングの軌道が定まらなかったりする場面も目立った。ベッツ選手は児童に身振り手振りを交えてアドバイス。大事なことは難しい技術指導ではなく、野球を通じた学びと楽しさを伝えること。

 児童たちはバットに何とかボールを当てて遠くへ飛ばそうと試行錯誤を繰り返す。ベッツ選手は、そんな児童のスイングの軌道に会わせるかのように、下手投げのトスを上げ、スピードなどもそれぞれの児童に合わせて調整していた。

 筆者が見ている限り、ほぼ全ての児童がバットでボールを飛ばすことができていた。柔らかいボールとはいえ、バットに残る感触は格別なようで、ジャストミートしたスイングができた直後の児童の紅潮した表情が印象的だった。

バッティングを披露したベッツ選手

 ベッツ選手はさらに、自らバッティングも披露。児童たちは力強いスイングから高々と上がった打球を懸命に追いかけて捕球していた。

 イベントの最後には質問コーナーが設けられ、「どうしたらベッツ選手のように強い体になれますか」という質問に対して、「よく食べて、よく寝ること」と大前提を話した後、同じくメジャーでMVPを獲得している大谷選手やヤンキースのアーロン・ジャッジ選手を引き合いに、身長175センチながら内外野を守り、通算271本塁打をマークするベッツ選手は「私は(約193センチの)翔平や(約2メートルの)ジャッジと比べると体が大きくないので、その分、時間をかけてトレーニングをしている」と努力することの大切さを説いた。

 さらに、「性別や、体が大きくても、小さくても関係ない。自分自身を信じること。そして、ポジティブな気持ちを持ち続けること。そうすれば何があっても大丈夫だ」と子どもたちにエールを送った。幼少期には身体の小ささを理由に、リトルリーグの入団を拒否された事があったという報道もあるスター選手の言葉に、児童らはまっすぐな視線を向けていた。


新着記事

»もっと見る