2025年3月6日(木)

勝負の分かれ目

2025年1月21日

 米大リーグ挑戦に関するオフの話題は、プロ野球・ロッテの佐々木朗希投手のポスティングシステムでのドジャース移籍だけではない。23歳の佐々木投手よりも5歳下で、東京の進学校、桐朋高校3年で、日本のプロ野球(NPB)でもドラフト上位候補の逸材とされた森井翔太郎選手が、アスレチックスとマイナー契約を結んだ。

佐々木朗希投手をはじめ日本人選手の海外進出の早期化が進んでいる(Christopher Pasatieri / gettyimages)

 驚くべきは契約金で、150万ドル(契約時の日本円レートで約2億3300万円)は為替が円安とはいえ、NPBのドラフト入団選手の上限額(1億円プラス出来高5000万円)を大きく上回る。契約金とは別に、主に引退後に使用する学業補助金として25万ドル(約3900万円)も付く。

 かつては過酷な環境が強調されたマイナーリーグは、中南米など世界から集まる有望選手との熾烈な競争や文化の違いという厳しさはあるものの、いまや施設やスタッフなど育成環境は充実している。待遇面や育成・環境面で日本球界を凌駕する現状は、森井選手のような「直メジャー」の動きを加速化させる可能性もある。

海の向こうで“二刀流”の挑戦

 「自分の今後についてたくさん考えて、覚悟を決める事ができました」(一部抜粋、原文ママ)

 日本時間1月16日にアスレチックスとマイナー契約を結んだ森井選手は、自身の公式インスタグラムを開設し、決意のメッセージを投稿した。

アスレチックスとのマイナー契約をインスタグラムで発表した森井選手(インスタグラムより)

 森井選手は、中高一貫の名門進学校で知られる桐朋に小学校から在籍。野球は小学1年からはじめ、投手と内野手の二刀流に挑んできた。

 3年夏は西東京大会初戦で敗退したものの、183センチ、89キロの恵まれた体格から最速153キロの直球を投げ込み、打っては高校通算45本塁打。複数の報道によれば、昨年7月の西東京大会初戦は、日米14球団のスカウトや編成関係者が視察したという。

 日本球界も注目するホープだったが、米国の大学やマイナーへ進むことを念頭に、NPB12球団には昨秋のドラフト会議前に指名を見送るように意思表明の文書を送付。昨秋に自ら渡米してキャンプ施設やメジャー、マイナーの試合を見学し、米球界に挑戦することを決断した。海の向こうでも投打の二刀流に挑む覚悟だ。


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