2024年12月26日(木)

勝負の分かれ目

2024年1月30日

 プロ野球・ロッテの佐々木朗希投手が2月1日のキャンプインを前に、来季の契約を現状維持の年俸8000万円(推定)で更改した。12球団の選手で最後まで交渉が長引いた背景には、早期の米大リーグ挑戦の要望があったとされる。

12球団最後の契約更新となった佐々木朗希投手の交渉が見せた課題とは(時事)

 佐々木投手が念頭に置くのは、ポスティングシステムによるメジャー移籍だろう。日本球界からトップ選手がメジャーへ移籍するには、海外フリーエージェント(FA)権の行使か、ポスティングシステムしかない。この2つは、「選手の権利」と「球団の承諾」と明確に制度が違うにもかかわらず、現状は「同化」してしまっていることに課題がある。

似て非なるポスティングと海外FA

 「将来的にはメジャーリーグでプレーしたい」。報道によれば、佐々木投手は27日に行われた契約更改後の記者会見で初めてメジャー挑戦の希望を明らかにした。まずはプロ5年目の今季に「キャリアハイ」を目標に定め、色紙には「優勝」としたためた。球団も「毎年(オフごとに)、しっかりと話し合う」とメジャー移籍について対話を継続する姿勢を見せ、今オフの〝騒動〟は落着した。

 このオフ、日本球界からは、新たに3人の投手がメジャー契約を結んだ。オリックスからドジャースへ移籍した山本由伸投手、DeNAからカブスへ移籍した今永昇太投手、楽天から移籍してパドレスと契約した松井裕樹投手だ。山本、今永両投手はポスティングシステム(日本ハムの上沢直之投手もマイナー契約だが、ポスティングシステムでレイズへ移籍)、松井投手は海外FA権を行使しての移籍だった。

 FAは文字通り、選手が所属球団を含めた全ての球団と自由に交渉できることをいう。日本からメジャーへ移籍する場合には、球団間で譲渡金も発生しない。

 選手が権利を取得するには条件があり、メジャーに挑戦する場合は、1軍出場選手登録期間(年間145日間以上)が9年で取得できる海外FA権の行使が必要になる。8年(2007年以降の大学・社会人は7年)で取得できる国内FA権よりも1年長くかかる。

 一方、ポスティングシステムは、海外FA権を取得していない選手が、球団から容認されることでメジャー移籍が前進する。容認した球団は、移籍先のメジャー球団から譲渡金を受け取ることができる。


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