
イギリスのキア・スターマー首相は27日、ロシアを和平交渉のテーブルにつかせるため、西側各国は制裁を弱めるのではなく、強化する必要があると訴えた。
この日、ウクライナを支援する「有志連合」の首脳会合がフランス・パリで開かれた。30カ国と欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)のトップらが集まった。
スターマー氏は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、アメリカが仲介した海上停戦を実行する前に対ロシア制裁の解除を求めるなど、「駆け引きと時間稼ぎ」をしていると非難した。
そして、「今は制裁を後退させたり、弱めたりする時ではない。制裁を強化し、ロシアを交渉テーブルに着かせる時だ」と訴えた。
スターマー氏はまた、ウクライナの和平交渉には「枠組みと期限」が必要だと主張。
この日の会合で、「和平プロセスとウクライナを支援し、ロシアが本気になるよう圧力を強めるため、私たちはさらに前進しなければならない」ことで、パートナー諸国と意見が一致したと説明した。
その上で、「それはロシアに対する経済的圧力を増し、新しく厳しい制裁を強め、ロシアのエネルギー収入を抑え、この圧力を効力のあるものにするために協力することを意味する」とした。
スターマー氏はさらに、ウクライナにおける公正で永続的な和平を求める政治的ムードは、かつてないほど「強く、広い」ものになっていると強調。「欧州全体がこれほど強く団結したことは、長い間なかった」と述べた。
なお、アメリカはこの「有志連合」には参加していない。
イギリスはまた、数十カ国で構成する「ウクライナ防衛コンタクト」グループの次回会合で議長を務めることになっている。スターマー氏は同会合について、ウクライナにさらなる軍事支援を提供し、「ウクライナを戦い続けさせる」ためのものだと説明した。
さらに、イギリス、フランス、ドイツの国防トップが、ウクライナで会合を開くと述べた。日程は明らかにしなかった。
スターマー氏はこれに先立ち、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と協議した。スターマー氏はその際、ロシアを「ウクライナの人々に対する壊滅的な攻撃を続けている」と非難。プーチン大統領の約束については「空虚」だと述べた。
ゼレンスキー氏は、会合の全出席者が、「ロシアがいかなる平和も望んでいない」ことを理解しているとし、今後数週間から数日のうちに安全保障の保証について話し合うだろうとした。
この日の会合については、フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、対ロシア制裁を解除すべきではないと欧州各国が「全会一致で同意した」と述べた。
マクロン氏は、「制裁解除の機は熟していない。(中略)私たちは経済的圧力をかけ続ける必要がある」とした。
ウクライナ派兵をめぐっては
マクロン氏はまた、ウクライナでの停戦後、それを守る欧州部隊が攻撃された場合は、「それに対応する」と発言。「ウクライナ領土に対する攻撃が再びあれば、これらの部隊は攻撃されるだろう。そうなれば、通常の交戦の枠組みで対応することになる」とした。
イギリスとフランスは、ウクライナで停戦が実現した際には、ロシアの再侵略を抑止するため、ウクライナに部隊を派遣する取り組みを主導している。
スターマーはこの日、軍の派遣については議会が決定すべきだと繰り返し主張した。
欧州の多くの国は、指導者がこの日パリで団結を誇示したものの、現実にはウクライナに派兵する可能性はないとしている。
フィンランドやポーランドといった国々は、ロシアの直接的な脅威を感じており、自国軍は自分たちの国境を守る必要があると考えている。派兵が国内で大きな不評を買うことを恐れている国もある。
一方、イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、英仏の計画にたびたび懐疑的な立場を示してきたが、国連軍の部隊の一部としてウクライナに派兵する「代替案」を打ち出そうとしている。
ロシア国営タス通信によると、同国外務省のマリア・ザハロワ報道官は、欧州軍がウクライナに駐留すれば「ロシアとNATOの直接衝突」を招く危険性があると述べた。
ザハロワ氏は、「イギリスとフランスは、ウクライナへの軍事介入の構想を膨らませ続けている。そのすべてが、平和維持活動という名目で隠されている」とし、ロシアは「そのようなシナリオには断固反対する」と述べたという。
(英語記事 Starmer accuses Putin of 'playing games' over Ukraine peace deal)