世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月1日

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 ロシア文化では、沈黙は金ではなく、沈黙は同意とされます。言うべきことは言っておかなければなりません。もちろん、このことは日本の対露外交についても当てはまることです。安倍総理は、プーチンとの間で良好な関係を築こうとしているようですが、北方領土問題についてプーチンがなんら譲歩する姿勢を示していないのに、安倍総理が前のめりになり、自分の任期中に平和条約の締結をしたいなど、交渉に期限を付するようなことを言うことは、絶対に避けるべきです。日本の基本方針である4島返還をないがしろにしてはなりません。そういうことをすれば、ロシアは、安倍総理はくみしやすいと見て来ることは確実です。

 プーチンは、ソ連の崩壊が20世紀最大の地政学的破局であると言っている人です。柔道好きで、親日家でありますが、歴史認識ではスターリン主義的なところがあり、4島返還に踏み切る人とは考えられません。これまでの発言もそれを示しています。

 一方、クリミア問題をめぐり、日本は、米欧と歩調を合わせて、ロシア批判を強めています。これは、武力を背景とした国境線の変更は国際規範に反する、との立場を明確にしていることになり、北方領土問題をめぐる、日本側の論拠とも整合性がとれています。

 対露外交は、北方領土を不法占拠されているという大前提を忘れず、是々非々で臨むべきであり、ロシアを対中カードになると誤認したり、ロシアの天然資源に目がくらむ、などといった誤りを犯さないよう、十分に気を付けるべきです。

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