
アメリカ政府は3月31日、パレスチナ・ガザ地区の「すべての当事者」が国際人道法を順守することを望むと表明した。一方で、イスラエル軍が救急隊員や民間防衛隊員、国連職員ら15人を殺害したとされることについて、独自調査を実施しているかは明言を避けた。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は、ガザで3月23日に救急車5台、消防車1台、国連車両1台が「次々と」攻撃されたと発表。制服姿の救急隊員を含む15人の遺体が、まとめて埋められていたのが見つかったとした。
OCHAのガザ責任者ジョナサン・ウィトル氏は、攻撃された救急車の緊急警光灯で、遺体がまとめて埋められていた場所に「目印がつけられていた」とソーシャルメディア「X」に投稿した動画で説明。
「まったく恐ろしいことがここで起きた」、「医療スタッフは決して攻撃対象にされてはならない」と付け加えた。
イスラエル軍はこれについて、ヘッドライトも緊急警光灯も点灯させずに「不審に前進していた」車両に発砲し、イスラム組織ハマスのメンバー1人と、その他の武装戦闘員らを殺害したのだと説明している。遺体が集められて砂の中に埋められていた件については、コメントしていない。
米国務省のタミー・ブルース報道官は31日、イスラエル軍が救急隊員らを殺害した可能性について質問されると、「ガザで起きていることは、すべてハマスのせいだ」と答えた。
国際人道法は、民間人を攻撃対象にすることを禁じており、医療関係者には特別な保護が必要だとしている。
イスラエルにとって最大の武器供給国アメリカは、自国の法律で、外国の軍隊がアメリカ製の武器を人道法に違反して使用することを禁じている。
イスラエルは、ハマスとの停戦協定をめぐる交渉の行き詰まりを受け、3月18日にガザでの空爆と地上作戦を再開した。
以来、ガザでは1000人以上が殺害されていると、ハマスが運営するガザ保健当局は発表している。
イスラエル軍は2023年10月7日、ハマスによる前例のない規模の越境攻撃を受け、ハマス壊滅作戦を開始した。ハマスはイスラエル攻撃で、約1200人を殺害し、251人を人質に取った。
ガザ保健当局は、今回のガザでの戦争で、これまでに5万350人以上が殺害されたとしている。