
ウクライナ当局は4日、中部にあるウォロディミル・ゼレンスキー大統領の出身地クリヴィー・リフにロシアのミサイル攻撃があり、少なくとも18人が殺されたと発表した。数十人が負傷したという。
ゼレンスキー大統領によると、死者には子ども9人が含まれている。地元当局は、弾道ミサイルが住宅地を直撃したと述べた。
現場の画像には、少なくとも1人の犠牲者が、遊び場に横たわっている様子が写っていた。また、10階建ての集合住宅の大部分が破壊され、犠牲者が道路に倒れている様子が映し出された映像も公開された。
ロシア国防省は、「高精度ミサイル攻撃」がレストランにいる「部隊指揮官と西側の教官の会合」を標的にしたと説明。最大85人が死亡したと述べたが、証拠は提示しなかった。
ウクライナ軍は、ロシアが「冷酷な犯罪を隠すために」虚偽の情報を広めていると述べた。また、ロシア軍がクラスター弾頭を搭載した弾道ミサイル「イスカンデルM」を発射し、犠牲を最大化しようとしたと指摘した。
この攻撃は、クリヴィー・リフで行われたものとしては、ロシアが2022年に全面侵攻を開始して以降で最も犠牲者の多い攻撃の一つとなった。
ロシアとウクライナの戦争をめぐっては、アメリカのドナルド・トランプ大統領が停戦を仲介しようとしている。
ゼレンスキー大統領はソーシャルメディアに、4日の攻撃で少なくとも5棟の建物が被害を受けたと書き込んだ。また、「これが続く理由は一つしかない。ロシアが停戦を望んでいないからだ。我々はそれを見ている」と述べた。
クリヴィー・リフの防衛責任者を務めるオレクサンドル・ヴィルクル氏は、住宅地が攻撃されたと述べた。
「大勢を負傷させるため(中略)ミサイルは空中で爆発した」、「子どもたちは遊び場やその近くで殺された」と、ヴィルクル氏は話した。
4日夕には、ヴィルクル氏はさらに爆発があったと報告。市内が「大規模な」ドローン攻撃を受け、少なくとも4か所で火災が発生していると述べた。
ヴィルクル氏によると、ドローンが直撃した民家で高齢女性が焼死したほか、他の場所でもさらに5人が負傷した。
クリヴィー・リフがあるドニプロペトロウシク州のセルヒイ・リサク知事は、40人以上が負傷したと話した。最も年少の負傷者は生後3カ月だという。
こうしたなか、イギリスとフランスの軍幹部たちは、停戦合意の一環としてウクライナに外国の平和維持軍を駐留させる計画を話し合うため、首都キーウでゼレンスキー大統領と会談した。
しかし、戦闘が緩和する兆しはほとんど見られない。
クリヴィー・リフは今週初めにも攻撃された。市中心部の建物が直撃され、4人が死亡した。
地元当局によると、3日にはロシアのドローンが北東部ハルキウを襲い、さらに5人が殺害された。
イギリスとフランスは、ロシアがウクライナの和平合意に足踏みしていると非難した。イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は、ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)サミットで記者団に対し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「今すぐ停戦を受け入れることができるが、彼はウクライナとその民間人を爆撃し続けている」と述べた。
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、ロシア側はアメリカの立場を理解していると述べ、「彼らが本当に和平を進める意思があるのか、それとも引き延ばし戦術なのか、すぐに分かるだろう」と警告した。
クリヴィー・リフはウクライナ東部の前線から約70キロ離れており、人口60万人。東西の幅はわずか20キロだが南北の長さ100キロに上り、ヨーロッパで最も細長い都市とされている。
(英語記事 Children among 18 killed in Russian attack on Zelensky's home city)