2025年12月5日(金)

食の「危険」情報の真実

2025年4月16日

 今回問題が起きたすき家をはじめ他のファストフード店やチェーン展開する飲食店も考え方は同じだが、店舗の立地などによって調理場の構造が異なってしまう。さらに、提供しているメニューもマクドナルドのように調理過程が同じようなものばかりでない。すき家ならば、牛丼だけでなく、カレーや他の丼、定食と幅広く、管理を徹底させるのはなかなか難しい。

 さらに、「24時間営業」としている場合は、営業しながら清掃することになり、十分に清掃できないところも出てきやすく、異物混入や害虫増殖の機会も多くなる。すき家は問題を受け、24時間営業を取りやめ、午前3時から午前4時の間で集中的な清掃作業を行うなどの対策を実施するとしており、一定の効果があるとも言える。

それでも起こる〝混入〟

 それでも、虫やねずみといった異物は、店舗の衛生管理を徹底していても外部からも入ってきてしまうこともある。皆さんの自宅にもゴキブリがいるように、飲食店でゴキブリが皆無な店舗はまずないと言える。

 多くのチェーン店が、防鼠防虫駆除業者に生息調査や駆除を依頼して報告を受けているが、報告書を読んでいなかったり、忙しさにかまけて、清掃の強化や防除対策の強化を後回しにしてしまったりするため、さらに状況が悪くなる場合も多いと思われる。

 経験を積んだ食品衛生監視員であれば、店の臭いを嗅いだだけで、ネズミの棲息やゴキブリの有無を推測できる。もちろん、店舗に設置してある生息調査用の捕虫シート(ゴキブリホイホイなど)などでも容易に確認もできる。

 保健所では、国際標準の衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」制度化に伴い、衛生管理計画を立てて定期的にPDCAすることを指導している。防鼠防虫駆除や衛生教育についても、計画を立てて実施し、定期的に見直すことが求められている。

 保健所は、店舗に防鼠防虫駆除を実施して生息しないよう指導しているが、同じチェーン店でも店舗の立地や構造により、事情はバラバラだと推察する。

 東京でも、新宿や神田などの繁華街では町全体にネズミが棲息しており、町会などでもゴミ対策をしている。ドブネズミには毒エサが有効だが、クマネズミにはあまり効果がない。中には、客の出入口や勝手口から入ってくることもある。

 また、ビル裏に住むクマネズミは頭が良く、壁をよじ登ったり棚の戸を開けて中の食材を食べたりする。このため、店舗に生ごみを放置しないこと、ふたのある容器に保管すること、ネズミが入る穴などを塞ぐことが大切だ。ネズミが毎日のように通る場所は「ラットサイン」と言って汚れてくるので注意して確認しなければならない。

 ゴキブリは食材やダンボールなどにもついて入ってくるので、なかなか対策が難しいものとなっている。まずは、定期的に捕虫シートを交換して、棲息の有無を確認するとともに、必要であれば殺虫駆除を行うことが必要である。自己判断するだけではなく、防鼠防虫駆除業者のプロ意見や指導も受けるべきである。


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