2024年11月21日(木)

食の「危険」情報の真実

2024年3月14日

 福岡県内の小学校で2月下旬、給食で出されたうずらの卵をのどに詰まらせて1年生の男児が亡くなる事故があった。食べ物による窒息死は子供や高齢者に多いとはえ、あらゆる世代で発生している。窒息を起こしやすい食品や食べ方を知り、窒息事故から命を守ろう。

ミニトマトをはじめ、食べ物の窒息事故はすぐ身近にある(yaoinlove/gettyimages)

交通事故死の1.8倍

 消費者庁によると、2017年から21年の5年間に発生した子供の不慮の事故による死亡1229件のトップは窒息事故だ。このうち食べ物をのどに詰まらせたことが原因の窒息事故は56件。0~4歳が45件と乳幼児が8割を占めるが、5~9歳が6件、10~14歳が5件と、小中学生でも発生している。

 また、厚生労働省によると、22年に食べ物による窒息事故で死亡したのは4696人。23年の交通事故死が2678人(警察庁)なので、交通事故の1.8倍もの人が食べ物で亡くなっていることになる。9割以上が65歳以上の高齢者とはいえ、15~64歳の成人が386人と8%を占め、窒息事故が子供や高齢者だけの問題でないことが分かる。

ブドウ、ミニトマト……丸くてつるっとに注意

 では、どんな食べ物で窒息事故が起きているのだろう。

 窒息を起こしやすい食品としてまず挙げられるのが、丸くてつるっとしているものだ。ブドウ、さくらんぼ、ミニトマト、うずらの卵、球形の個装チーズ、ソーセージ、ピーナツなどの豆類、こんにゃく、白玉だんご、あめ――などで、これらの食品のどれかを毎日のように口にしている人は多いのではないか。

 表面がつるっとしている食べ物は、うまく噛めない上に口の中で滑りやすく丸飲みしてしまうことがある。そして、丸い形はのどにはまり込んで気道を塞ぎやすい。

 給食での窒息事故を受け、うずらの卵を給食に使用しない自治体も出ているが、うずらの卵だけが危険なわけではないことを知ることも大切だ。ただ、窒息リスクが高い乳幼児の場合は、ブドウやミニトマト、うずらの卵を食べさせるときは4分の1にカットする、ソーセージは縦半分に切ることが勧められる。また、白玉団子や豆類は未就学児は避けた方がいい。

 過去には保育園の園庭で遊んでいた1歳女児が、園庭で栽培していたミニトマトを口に入れ窒息死したケースもある。食べ物による窒息事故というと食事のときだけ注意すればいいと思うかもしれないが、なんでも口に入れようとする乳幼児期の子供の場合、小さくて丸い物はどんなものでも注意が必要だ。


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