まず背中を叩け
そして、どんなに気を付けていても食べ物を詰まらせてしまうことはある。その際の応急処置の方法はすべての人が知っておきたい。乳幼児では頭を低くして抱き抱え、手のひら全体で背中を強くたたく「背部叩打法」、大人や年長児では後ろから両腕を回し、みぞおちの下で片方の手を握りこぶしにして腹部を上方へ圧迫する「ハイムリッヒ法」が有効だ。
ただ、食べ物がのどに詰まったときに大仰に苦しむ人ばかりとはかぎらない。はた目には窒息してるかどうか分からないことも多いので、後ろから抱き抱えるハイムリッヒ法は普通の人にはハードルが高い。食事の最中に苦しそうにしている人をみかけたら、まずは背中を叩いてあげることでも一定の効果はあるという。
食品安全というと多くの人が添加物や農薬を懸念するが、日常的に食べられている食品でこれらによる食中毒や死亡はない。一方で餅などの誤嚥で年間5000人近い死者が出ていることは、誤嚥こそが食品の最大のリスクであることを示している。
そして誤嚥事故は注意すれば防ぐことができる。毎日の食事の前に、ぜひこのことを思い出してほしい。