2024年11月25日(月)

ルポ・少年院の子どもたち

2014年4月7日

 「『うん……保母さん(当時生徒たちは妻をそう呼んでいました)が健ちゃん(長男)とお風呂に入っている』」

 「『そっか、英吾も保母さんとお風呂に入りたいのか?』『うん!』『じゃあ入っちゃえ』『うん!』」

 「英吾はその場で素っ裸になってお風呂にドボンと入ったのです。不良のお兄ちゃんたちからは『英吾が保母さんと風呂に入った』とからかわれましたが、大満足の英吾でした。彼はその後、小学校卒業時に家庭復帰したものの中学1年生で再入所し、中学校卒業まで在校して実父の経営するプレス会社に就職しました。後に看護師の奥さんと結婚し、現在は一児の父親として立派に生活をしています」(茂木)

 不足していた愛情を職員や家族の献身によって補い、少年たちは社会復帰を果たしていった。

茨城学園の石碑

 この「ルポ・少年院の子どもたち」の取材は、初等中等少年院「水府学院」を軸に「茨城農芸学院」やこの児童自立支援施設「茨城学園」へと繋がってきた。一連の取材の中で一貫していることは、時代が変わり、いかに社会が多様化しても子どもに必要なものは温かい家庭と教育ということだ。(ここでいう教育には学校教育だけではなく広く社会教育という意味も含みたい)

 「彼等が泣けば、我も亦泣き、彼等が笑えば、我も亦笑う」

 茨城学園の石碑に刻まれている言葉である。


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