24年には大規模な野外機動訓練(FTX)として、4月に「フリーダム・シールド」、9月に「ウルチ(乙支)・フリーダム・シールド」が行われた。概ね2つの演習に連携する形で大小さまざまな演習・訓練が行われるので、全体像を把握するのは容易でない。北朝鮮に強硬姿勢を示した尹錫悦政権は同年中、48回の演習・訓練を行った。
冬に大規模な演習は行わない
先に韓国軍は4月と8月に米軍と大規模な演習を行うと書いたが、冬は寒いから縮こまっているわけではない。どの国の軍隊も1年を周期として、天候が良い秋の演習をゴールに訓練計画を組み立てている。この辺はリーグ戦を行うプロスポーツのトレーニングと試合の関係を想像するとわかりやすいだろう。
ただし、韓国軍の場合は少しばかり事情が異なる。その理由は、北朝鮮の朝鮮人民軍が例年12月から3月末にかけて冬季訓練を行うからだ。
人民軍の冬季訓練は、大規模の部隊が凍った川を渡って一挙に南侵する想定で行われる。もちろん、実際に川を渡って侵攻してくるわけではないが、人民軍が一つの目的のために装備を整え、配置に付き、実際に様々な訓練を行うわけだから、仮定の動きが現実とならないよう、韓国軍は冬季訓練に対して警戒警備を強めなければならない。
そのような中で、28日付国防日報はキャンプ・ハンフリーズで行われた「連合野戦炊事訓練」を報じた。米韓が野戦炊事訓練を行うのは初めてで、米軍からの要請で行われたという。
選抜された韓国兵10人が400人分の調理が可能な炊事トレーラーなどを使って、ベーコン入りキムチ炒飯、炊き込みご飯、牛プルコギ50人分を調理すると、米軍は牛肉と七面鳥の焼き物、コーンサラダをつくって提供した。記事では“フードバトル”の勝敗は記されていないが、米韓両国の将兵がそれぞれの料理に舌鼓を打ったそうだ。
軍事を語る際に、艦艇や航空機、戦車など兵器のスペックや数量に目が行きがちだが、実際にそれらで訓練し戦うのは生身の人間だ。いくら弾薬が豊富でも食料がなければ戦えないことは自明だろう。米韓両軍での野戦炊飯訓練が初めて行われたのは意外だが、米韓将兵がビールを熱望したであろうことは想像に難くない。
