同コミック営業部の上ケ市亜矢氏は「今、世界中で日本のマンガが注目を集めているが、どの作品が人気かは地域や年代によっても差がある。幅広い作品を載せることで、より多くの方が目にとめてくれたら」と話す。
絵と文字だからこその効用
平日の昼過ぎ、JR東京駅のコンコースで写真を撮っていたのは、フランス人のハムディさん(48歳)。レンズに収めたのは『AKIRA』が描かれた広告だった。「フランスでは少し古い1980年代の作品がアニメで放映されていて人気がある。新しい作品のグッズなどは日本で色々と見かけたが、『AKIRA』は珍しかったので写真を撮った」という。また、「知っているキャラクターだったから、何が書いてあるのか気になった。『AKIRA』のおかげで、『日本は左側通行』というマナーを覚えられた」と笑顔で話した。
2024年の訪日外国人旅行者数はコロナ前を上回り過去最高の3678万人となった。その半面、一部地域では日本の習慣やマナーに疎い外国人によるトラブルも目立つ。こうした問題に、現地で「文字」や「音声」によって注意喚起を行うには限界もある。マンガやアニメは、外国人の興味を引くだけでなく、「絵」によって伝えたいことを視覚的にも表現できる良質なツールになり得る。今後は〝娯楽〟として楽しんでもらうだけでなく、お互いが快適に過ごせるような〝通訳〟としての機能にも期待できるかもしれない。
