「列車の写真を撮る際に、 柵から乗り出すのはやめましょう」
『進撃の巨人』の超大型巨人が壁に手をかけている一コマが描かれた広告には、英語と日本語で〝注意喚起〟が記されている。背景にはリヴァイ兵長が描かれており、それはまるで、壁から乗り出す超大型巨人に〝注意〟しているようにも見える。
この広告は講談社が4月24日から東海道新幹線の一部の駅で訪日外国人向けに展開中の企画「MANGA MANNERS」の一つだ。挨拶や食事、交通ルールといった日本独自の習慣やマナーを、海外でも知名度の高いマンガ作品のキャラクターが教えてくれる。
なぜ、マンガだったのか。仕掛け人の一人、講談社出版営業本部コミック営業部次長の田幸志朗氏は「昨年、訪日外国人に講談社のコンテンツを知ってもらうべく、成田空港に広告を出すことになった。その際、『日本へようこそ』というメッセージに留まらず、〝おもしろくて、ためになる〟情報を伝えようというアイデアが出た」と話す。そこで注目したのが、海外では馴染みのない日本のマナーだった。
「和食を食べる際は、茶碗や汁椀は手に持ちましょう」「入浴施設では、体の汚れを流してから湯船につかりましょう」といった、すぐに実践できる項目が並ぶが、これらは外国人にも実際にヒアリングをして決めたという。
成田空港での広告は好評を博し、今年4月の大阪・関西万博開幕に合わせて、第2弾として東海道新幹線の駅でも展開することとなった。昨年から新たに6種類が追加された同シリーズの広告には『週刊少年マガジン』の作品だけでなく、『ヤングマガジン』で連載していた『賭博黙示録カイジ』や『なかよし』の『美少女戦士セーラームーン』『カードキャプターさくら』など、掲載雑誌の枠を超えた計17作品の人気キャラクターが登場する。