2025年12月5日(金)

新しい〝付加価値〟最前線

2025年6月2日

令和の扇風機のあり方

 こうした中で、使い勝手、使い方を中心に新しいことが提案されているのが令和だ。①②④は製品化済。③は商品化の期待を込めて列記しておく。今からをいろどる未来型扇風機だ。

①音声認識扇風機

 音声認識扇風機は、今、シロカが一番進んでいる。商品名は「ポチタマ」。ウェイクアップ・ワードが「ポチ」「タマ」の犬、猫の名前だからだ。数年に渡り改良を積み重ねたオフラインAIで、実にスムーズに動く。扇風機は寝転がるなど、怠惰に使うことも多いが、そんな時、便利だ。特に2025年モデルは、首の位置の微調整ができる「ここピタ」と、周囲の温度が24℃以下になると自動的に停止する「みまもり」が追加され、音声だけでも使える。実に便利。オフラインなのでカスタマイズは無理だが、カスタマイズできれば、なお嬉しい逸品。

シロカ ポチタマ扇風機。音声認識のためのマイクがコンソールある。 みまもりは、温度センサーで外気温をチェック。24℃以下になると、自動的に扇風機を停止

②ミスト扇風機

 ミスト冷却。東京五輪で一躍名を上げたシステムだ。大胆にもこれを扇風機に取り込んだメーカーがある。米シャークニンジャだ。このバッテリー内蔵、ハイブリット型扇風機は、野外でも使える様に設計されている。ミスト冷却は野外で使う機能だが、打ち水と同じ。周辺をそれなりに冷やすことができる。一番感心したのは、「野外」扇風機という発想転換だ。庭のない住宅がやたら多い日本では、まずでない。海外では、公道などの方が危なく、庭で遊ばせる。また少々大きいが、クルマで持ち出せば、ビーチ・キャンプ場でも使える。子どもが小さかったら衝動買いしただろうモデルだ。

③IoT化

 大手のエアコンメーカーにお願いしたいのが、エアコンとの連動のためのIoT化だ。エアコンは設置位置から言うと俯瞰できるので、連動も可能なはずだ。これで効率をより上げる。ただ、これは理論だけではダメ。ビッグデーターを積み重ねて初めて実際に使える。エアコン開発もひと段落している今、家電連動によるエアコンの高効率化を目指して欲しい。

④天井設置

 日本では、天井は照明のみの家庭がとても多いが、海外では異なる。いろいろなものがぶら下がっている。巨大プロペラによるサーキュレーターシステムもその1つ。インテリアとして、部屋を選ぶと言う話もあるが、デザインさて置き、メリットは多い。コンセントを気にせずによく、床を占領することはない。しかも部屋中央。最高効率を狙える。WiFiなども同様だが、日本はとにかく、照明と共有することが少ない。事業部制の弊害なのだろうが、スマートハウス、洗練された家電にはほど遠い。

最新のシーリング・ファンライト。 あまりにもカッコイイ。 Makuakeの先行販売も、すばらしく人気が高い。目標金額の1000倍の予約がある(出所https://www.makuake.com/project/aoncia_lumaflow/)

 扇風機の新しい方向を4つほど書き出してみたが、逆に今は「全体」としてどうするのかという視点が、欠けていることがわかる。扇風機=風質という見方もあるが、ACモーターでもそれなりのレベル、微風に近い風が出せる今、このままだとテレビが画質で売れない状態に似ていないだろうか?

 単価が高くなく、儲けが少ない家電だが、なくてはならない家電であることも事実。メーカーの奮起を期待したい。

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