2025年12月5日(金)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2025年6月5日

人生は4:3:2:1、しかし最後はすべて運命

 僕は人生を、以下の割合で成り立っていると考えていた。

  • 4割が環境(生まれ育ち、時代、社会)
  • 3割がDNA(親からの遺伝)
  • 2割が努力(自分の行動)
  • 1割が運命(不可抗力)

 だが、がんになった今、こう思う。

 実は、すべてが運命だったのではないか。

 環境も、DNAも、努力も、そもそも与えられた条件であり、自分の力で選んだわけではない。つまり、努力すらも「運命の中での努力」に過ぎなかったのではないか。

 ならば、がんという存在もまた、運命として受け入れるしかない。

 そして、その運命の中で、何を学ぶか、どう生きるか。それが問われている。

がんという“編集者”に出会った

 がんは、僕の人生を編集しに来た編集者だった。

 若い頃はがむしゃらに世界を駆け、働き、中年期は地位や成果を追い、老年期にさしかかって、「さて、この人生、どうまとめるか」と迷っていたときに、がんという赤ペンがやってきた。

 がんは問いかける。「このページ、削除する?」「ここ、強調しておく?」

 そうやって僕に、自分自身を見つめ直す機会をくれた。

 がんとは、最悪の敵であると同時に、最良の先生でもある。

人類はがんを超えるか——AIとゲノム医療の未来

 医学は確実に進化している。

 AIによるゲノム解析は、がんの個別性を解明し、患者一人ひとりに最適な治療法を導き出す時代が到来しつつある。

 免疫チェックポイント阻害薬の進歩、CAR-T細胞療法の洗練、そしてバイオマーカーによる早期発見の制度化。

 こうした革新が進めば、15年以内に癌は人類史から“死の病”ではなく、“コントロール可能な慢性疾患”になる可能性がある。

 つまり、僕のような「ガンファイター」が必要とされる時代は、近いうちに終焉を迎えるかもしれない。

 それは悔しいことではない。むしろ、希望である。

 自分の闘病が「過去の話」になることが、未来の誰かの救いになるなら、本望である。


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