そして、これからがんと出会うあなたへ
もし、これを読んでいるあなたが、これからがんと出会う日が来たとしても、恐れずにこう言ってほしい。
「よう、ダイバダッタ。お前、俺の中にいたんだな。」
拒絶ではなく、共生の目で見れば、がんは少しだけ優しくなるかもしれない。
人生の最後に、そんな境地にたどり着けたことは、幸せであった。
あとがき:魂の放浪は続く
「ガンファイター」としての旅は、これで一区切り。
だが、魂の放浪はまだ終わらない。冥土の道中でも、僕はたぶん何かを探し、誰かと笑い、何かを忘れ物として背負っていくのだろう。
さて、これにて“ガンファイター”としての筆を置くが、銃はまだ腰に差したままにしておこう。次にどこで何が起きても、「ああ、来たな」と微笑んで対峙するために。
どうせ一度きりの人生なら、最後まで格好つけていたい。 病とも死とも、できればウィットとジョークで付き合いたい。
それが僕なりの、ささやかな“共生の美学”である。
では、またどこかの峠の茶屋か、冥土の交差点で──。
「やあ、久しぶりだな」と言い合える日を、少しだけ楽しみにしている。
―― 智探庵主人 中村繁夫
