MADEX2025で公開されたドローン空母など最先端の海軍兵器や韓国防衛産業の兵器輸出の動きについては、別の機会にお伝えしたい。
軍隊にまで広がる麻薬汚染の実態
ヘッドラインではないが、26日に「不法賭博・麻薬犯罪予防 協力事業の発展方案を議論 国防部、軍紀確立の定期協議体を開催」という記事が掲載された。韓国軍が麻薬対策を行う背景には、韓国の深刻な麻薬汚染がある。
23年の麻薬事犯は、過去最多の2万7611人を記録した。10年間で2.8倍に急増し、尹錫悦前大統領が「麻薬との戦争」を宣言していたほどだ。
ある国会議員がまとめた資料によれば、20年から24年に麻薬事犯として逮捕された軍人は84人で、押収量は1.8キログラム(kg)に上る。これは約1万1000回分の摂取量になるという。事件化されたのは氷山の一角なので、韓国軍の麻薬汚染は相当に深刻な状態だといえるだろう。
このような背景から、最近になって陸海軍の軍事警察に麻薬捜査専門部署が相次いで創設された。また、23年12月以降、兵役法と軍人事法、軍人服務基本法が改正され、入隊判定検査時に麻薬検査を実施するとともに、現役軍人に対しても麻薬検査を実施して、中毒者が下士官以上に任用できないようになった。
韓国軍の麻薬汚染ルートは、兵営で暮らす若い軍人がスマートフォンやSNSで売人に注文し、郵便や宅配便で取り寄せるとうもの。軍事警察は麻薬探知犬を使って、届けられた荷物を調査するにとどまらず、兵営や官舎も点検している。さらには、逮捕者が最も多い陸軍では、麻薬中毒容疑をかけられた兵士が銃を持って脱走し、民間人を人質に立て籠もったという想定で、ヘリボーンした陸軍捜査団のSWATによる急襲までも訓練している。
軍隊は外部から遮断されているが、いったん麻薬が流入すれば、軍務のストレスや集団生活という環境から、急速に拡散してしまう。韓国軍がここまで真剣に麻薬撲滅に力を入れているのは、部隊の健全性を維持することにとどまらず、過去に何度も起こった銃乱射事件を防止する意味もある。徴兵制の存在によって、世相の荒波をダイレクトに受ける韓国軍の苦労は絶えない。
