12日のヘッドラインは、正規の軍人としてではなく、米軍の補助部隊として参戦した24人に武功勲章が贈られたというもの。米8240部隊は、在韓米軍情報部が韓国人で組織した非正規部隊で、情報収集や破壊活動、遊撃戦に従事した。
一方の影島遊撃隊は、米中央情報局(CIA)が釜山沖の影島住民で組織した非正規部隊で、日本海側沿岸での遊撃戦に従事した。これら米軍指揮下で参戦した非正規部隊の元隊員への補償や顕彰は長らく放置されていたが、2021年に「6.25戦争非正規軍補償法」が制定され補償などが行われている。
李在明政権下でも進むフィリピンとの防衛協力
ヘッドラインではないが、10日に「『海の戦士たちの協力』多国籍作戦能力を強化 米国・フィリピン主導『カマンダグ』訓練に参加」、11日に「韓比空軍、協力拡大を幅広く論議 ソウルADEXとソアリング・イーグル訓練への招請意思を伝達」と、フィリピンとの防衛協力に関する記事が掲載された。
これが尹錫悦政権での話であれば大して驚かないが、日米のみならず中国にも接近する「新アジア戦略」を掲げる李在明政権で行われたことに少々驚くとともに、日本の安全保障を憂慮する立場からは安心もした。フィリピンは南シナ海で中国との領有権問題を抱えており、中国を牽制するために多国間軍事演習「バリカタン」を毎年開催し、日米豪との連携を強めている。今年の同演習には海自が初めて公式参加(護衛艦派遣)するとともに、韓国もオブザーバー参加した。
多くの日本人は韓比関係に詳しくないが、両国の歴史は朝鮮戦争にまで遡る。米軍が指揮をとる国連軍は19カ国で構成されたが、フィリピンは米英に次いで3番目に兵力を派遣した。
第10歩兵大隊戦闘団を主力とする約4700人の比軍は戦争初期の対ゲリラ戦を勇敢に戦い、460余人が犠牲になっている。韓国がフィリピンを「兄弟国家」と呼び、フィリピンが2014年に韓国の国産軽攻撃機FA-50を12機導入したのには、このような背景がある。
韓比の防衛協力としては、6月4日に比空軍がFA-50を12機追加導入することが発表されたばかりで、契約額は約7億ドル(約1000億円)に上る。今年で4回目を迎える韓比空軍会議では、韓国が今年10月に開催するソウル国際航空宇宙・防衛産業展(ADEX)と大規模空中総合訓練「ソアリング・イーグル」に比空軍を招待するとともに、比空軍は米比合同訓練「コープ・サンダー」の参観を要請した。
