2025年5月13日付 フィナンシャル・タイムズ 紙は「習近平はパナマ運河に関し米国に対抗してパナマを支持」との論説を掲げ、北京で行われた中・南米サミットで中国が米国の一方的関税で打撃を受けている南米諸国への各種支援を表明したことを報じている。

習近平は、米国が裏庭と見なす地域を味方にするよう動く中、パナマ運河所有に向け圧力をかける米国に対抗しパナマへの一層の協力を約し、中南米諸国全体とのより大きな協力を約した。33カ国の中南米カリブ海諸国の首脳に対するスピーチで習は、中南米地域に対してビザ抜き渡航や100億ドルの開発融資に加え、法執行のための訓練や機材供与を表明した。習近平と中南米首脳との会合は、米中が関税戦争での停戦に合意した翌日に行われたが、これは米国の国際的影響力に対抗する中国の決意を示すものだ。
中国は既に中南米最大の貿易相手で、昨年の貿易額総計は5000億ドル超だ。習は、中国が中南米諸国の主権と独立を守り対外的影響に対抗する努力を支援すると、中国・中南米カリブ海諸国共同体会合の出席者に述べた。
習は、1960年代に米国のパナマ運河管理に反対するパナマの国内運動に連帯して中国で行われたデモの記憶に触れた。トランプは運河への中国の影響力の疑惑からパナマに対して運河の管理を米国が取り返すと圧力をかけた。
トランプの圧力を受け運河の出入口に施設を有する香港ベースの財閥CKハチソンは3月に港湾活動に関する228億ドルの取引の一環として、その施設をブラックロック主導の企業体に売却することに合意した。中国はこの取引に怒り、CKハチソンに再考を要求した。中国の独占禁止当局は香港企業の取引には通常やらない調査を開始した。
コロンビアのペトロ大統領は、5月12日の万里の長城訪問の際、同国の中国の一帯一路計画への参加を再表明したが、これは米国には打撃だ。この習近平の国際的インフラ建設構想は中国の影響力伸長を助けてきた。ペトロ大統領は中南米カリブ海諸国共同体の今年の議長だが、これを中国・中南米協力を大いに前進させるとして評価した。