トランプとラトニックの関係
次に、トランプとラトニックの関係である。米政治専門サイトポリティコによれば、2024年米大統領選挙において、ラトニックはトランプ陣営に1000万ドル(約14億8000万円)を献金した。さらに、彼は自身のウォール街のコネクションを利用して、同陣営に7500万ドル(約111億2700万円)を集めた。2人の献金額を比較すれば、ラトニックはベッセントよりもトランプに貢献したことになる。
しかし、前述した通り、2024年米大統領で勝利を収めたトランプが、財務長官に期待したものは、金融に関する個人的なアドバイスではなかっただろうか。
ラトニックは、今回の日米関税交渉で合意した日本が投資するプロジェクトに、医薬品などの9分野に重要鉱物を入れた。ラトニックは、現在は関わっていないとしても、投資会社カンター・フィッツジェラルドの元CEO(最高経営責任者)で、同社は金属・鉱物の採掘を行うクリティカル・メタルズ社を所有している。
ラトニックは、レアアースに強い関心を持っている。日本が重要鉱物のプロジェクトに投資し、利益が米国の鉱物資源会社に入り、それが循環してトランプの政治団体に献金として流れるという見方もできる。「金の循環」のメカニズムを構築してくれるラトニックも、トランプにとって手放しがたい人物である。
