平成22(2010)年
鎧武者(よろいむしゃ)をモチーフにしたユニークな造形作品で注目される美術家、野口哲哉。その初期作品から最新作までを集めた、関西初の本格的な作品展「野口哲哉展 ─野口哲哉の武者分類(むしゃぶるい)図鑑─」が、京都府のアサヒビール大山崎山荘美術館で開催されている。
樹脂やプラスチックなどの素材を使って表現される武者の姿は、実に精巧で古色蒼然としている。一方で、甲冑(かっちゅう)にシャネルのマークが入っていたり、頭にかぶった兜(かぶと)の動物が話していたり、背中に機器を装着して空を飛んでいたりと、ありえない演出が施されている。絵画もまた然(しか)りで、自転車に乗って出陣する武士などが退色したような画面に描かれている。空想の世界と分かりつつも、あまりに緻密な甲冑の描写や、武士たちの哀愁を感じさせる表情に思わず引き込まれてしまう。
野口哲哉は昭和55(1980)年生まれの作家で、一貫して武士をテーマに創作活動を続けている。活動期間はまだ短く、今回一堂に会する約90点が、これまで手掛けてきたほぼ全作品となる。若きアーティストの全貌に触れる格好の機会となるはずだ。
野口哲哉展 ─野口哲哉の武者分類図鑑─
<期間>4月19日~7月27日 *会期中展示替えあり
<会場>京都府大山崎町・アサヒビール大山崎山荘美術館(東海道本線山崎駅下車)
<問>☎075(957)3123
http://www.asahibeer-oyamazaki.com/tokubetu/syosai40/index.html
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