2025年12月6日(土)

Wedge REPORT

2025年8月23日

 猛暑が続く夏。お盆休み明けでどうも仕事に身が入らないビジネスパーソンも多いのではないだろうか。

 そうした仕事の停滞や行き詰まりを打破するために、日本が世界に誇るマンガから学べることも多い。

 劇場では、快進撃を続ける『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』はじめアニメ映画も上映されている。息抜きをしながら仕事への学びを得るのも手かもしれない。

 日本のコンテンツを〝教養〟とする記事を紹介する。

(winhorse/gettyimages)

〈目次〉

『鬼滅の刃』に学ぶ若者との付き合い方、マネジメントの仕方に困っている方へ(2021年6月18日)

『ゴルゴ13』に学ぶ世界経済、ここまでリアルに描けるワケ(2025年6月4日)

「僕は『芸術家』ではなく『マンガ家』」浅野いにおが語るマンガの未来、世界展開へ作り手も受け手も必要な“チューニング”とは(2025年5月28日)

日本のアニメが心を癒やす?イタリア出身の精神科医が語るエンタメという“薬”の可能性(2025年8月11日)

なぜ戦争はなくならないのか『進撃の巨人』から考える(2022年5月26日)

『鬼滅の刃』に学ぶ若者との付き合い方、マネジメントの仕方に困っている方へ

NAOKI NISHIMURA/AFLO

 物凄く好きなのだ、『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴、集英社)が。それも、高く評されるアニメ版ではない。おおもとの純粋な原作漫画版が、私はものすごく好きなのだ。1度目に読み終えた時は、そうでもなかったが、2度目に読み終えた時は、各キャラクターとエピソードへの深い愛着を感じずにはいられなかった。ここから私は生粋の鬼滅オタクとなり、周囲にその良さを吹聴して回ることとなる。

 好きなところを挙げればキリがないが、映画となり空前絶後の大ヒットを飛ばした、「無限列車編」での煉獄さんの生き様ももちろんそうであるし、刀鍛冶の里で、無一郎が人間性を取り戻すシーン。そして何より、無限城編である。

 全編を通して私はここが一番好きなのだが、猗窩座のファンが増えるキッカケとなった、「VS上弦の惨」、胡蝶しのぶの覚悟と、想いを継いだ後継たちの決死の覚悟が伝わってくる「VS上弦の弍」、そして何より 無惨編を除き最大の総力戦となった、「VS上弦の壱」……

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『ゴルゴ13』に学ぶ世界経済、ここまでリアルに描けるワケ

©Takao Saito/Saito Production/LEED PUBLISHING CO., LTD.

 「用件を聞こう」。各国政府、大企業やマフィアから、悪に泣く犯罪の犠牲者まで。彼らから依頼された狙撃対象を、ライフル「アーマライトM16」で射貫く。狙撃請負人『ゴルゴ13』の活躍は、1968年11月の『ビッグコミック』(小学館)連載開始から60年近くに及ぶ。

 麻生太郎元首相が大ファンを自認するこの劇画の魅力は、ディテールの確かさに尽きる。実は2021年9月に原作者のさいとう・たかを氏が亡くなられた際、筆者は『日本経済新聞』電子版の解説コーナー(Think!欄)に次の一文を記した。

 ≪なかでも商社マンと穀物メジャーが知略を尽くす「穀物戦争」は、先物取引の分かりやすい入門講座でした。為替介入や金融再編についても、仕組みを解きほぐしています。テーマは幅広く、エボラに感染してしまったゴルゴが機転を利かせて死地を脱する「病原体・レベル4」は、コロナ禍で再読された作品です≫……

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「僕は『芸術家』ではなく『マンガ家』」浅野いにおが語るマンガの未来、世界展開へ作り手も受け手も必要な“チューニング”とは

浅野いにお(Inio Asano)マンガ家 1980年生まれ、茨城県出身。1998年、高校2年生のときにデビュー。代表作に『ソラニン』『おやすみプンプン』『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(小学館)など。現在『ビッグコミックスペリオール』(同)で『MU JINA INTO THE DEEP』連載中。( 写真・中村 治以下同)

 2010年に実写映画化された『ソラニン』(小学館)をはじめ、累計発行部数630万部を超える『おやすみプンプン』(同)、24年に劇場版アニメが公開され話題となった『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(同)など、数々のヒット作品を世に送り出しているマンガ家・浅野いにお。1998年のデビューから27年、連載作や短編集も合わせると発表作品は数知れず。マンガ業界を取り巻く環境や世の中が激動する中、浅野が描く日本のマンガの未来とは──。

 リアルで美しい背景が緻密に描き込まれる作品で知られる浅野は、幼い頃から、絵を描くことや工作することが得意だった。

 「小学1年生の時、学校の絵画コンテストで金賞をとりました。テーマは『虫』で、僕はクモを描きました。胴体の部分に縞模様をつけていろいろなクモを紙面いっぱいに、びっしり描いたんです。この構図を評価されたことで、幼いながらに自分の絵のスタイルはこれなんだと、手ごたえを感じたのを覚えています」……

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日本のアニメが心を癒やす?イタリア出身の精神科医が語るエンタメという“薬”の可能性

ヒーローの代表格・「スーパーマン」は逞しい肉体に、怪力、飛行能力、不死身の能力を持つが、現実からは〝遠い〟存在だ(EVERETT COLLECTION/AFLO)

 アニメによる治療──。そんなこと、非現実的だと思う人も少なくないだろう。日本では、かねてより、アニメは「文化」ではなく「娯楽」と認識されてきた。

 今は当たり前に使われている「オタク」という言葉も、生まれた当初は蔑称としての意味合いの方が大きく、アニメに没頭することは現実世界からの〝逃避〟と見なされてきた。だが、そのアニメは現代社会が抱える問題を解決する可能性を秘めている。

 厚生労働省の調査によれば、10歳から39歳までの死因第1位は「自殺」であり、「15~19歳」、「20~24歳」、「25~29歳」の年齢階級においては、死因の半数以上が「自殺」となっている。日本の若者の自殺率は主要7カ国(G7)で最も高い……

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なぜ戦争はなくならないのか『進撃の巨人』から考える

 「なぜ世の中から戦争が無くならないのか」

『進撃の巨人』(諫山創、講談社)

 よく問いかけられるこの疑問に、秀逸な筆致で答えてくれたのが『進撃の巨人』(諫山創、講談社)といえるだろう。無類の漫画好きで、何千作品と目を通してきた筆者であるが、個人的マイベストに君臨していた『寄生獣』(岩明均、講談社)を抜き、生涯ベストと評価する作品に躍り出たのが、この『進撃の巨人』であった。

 連載開始当初は、「巨人が人を喰らう」という衝撃的なシーンの連続で漫画界に激震を走らせたが、物語が進むにつれ、単なるショッキングなだけの作品というわけではないことが徐々に判明してくる。作り込まれた世界観や設定、世界の歴史、個々のキャラクターの想いや個性等々、非常に重厚長大な作品だったことが分かってくるのだ。

 そんな本作が教えてくれるのは、信念とは人それぞれであり、事実では人は変えられないこと、それが世の中から戦争がなくならない理由である、ということだ……

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