2024年7月14日(日)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2014年6月17日

 製薬業は人命を救う仕事であるから金儲けの前に人道的配慮を最優先すべきだという彼の意見はかき消された。

 結局、若手の主流派との意見が合わず辞表を叩きつけたのである。若手の連中にいくら昔の苦労を話しても理解されない団塊世代の敗北であった。

 そんな時に中国で日本語教師が求められていることを知り、中国語は出来なかったが、中国での日本語教師に転職したのだ。彼が馴染みのない語学に悪戦苦闘したことは想像に難くないが、中国の若手の世代との交流は楽しかったと言っていた。

 それからは時間さえあれば、中国のみならず東南アジアを中心にバックパッカーをして1人旅を繰り返した。一方、私は若い時の放浪の経験が役に立って世界を駆け巡る商社マンの道に入った。暇な時間さえあれば私は若い世代との議論を楽しむタイプだ。

 西村君と私との違いは早く放浪をしたのか、遅くしたのかだけの違いである。ただし、「今を生きる」視点は同じだ。つまり、40年経っても我々は若い頃と大して変わっていないことに気づいたのである。

 一緒に仏跡を回って、もう一つ奇遇が判明した。私は姉の四十九日の喪が明けた次の日にミャンマーに来たが、彼の実姉も同じ月に亡くなったと聞いた。彼のお姉さんは69歳の若さで逝ったが、私の姉と年齢まで同じだった。不思議な偶然だが、道は違ってもよく似た運命を辿ってきたような気になった。

◆WEDGE2014年6月号より









 

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