インフレ税収は50.3兆円
いま、内閣府「政府経済見通し(年央試算)」のインフレ率(消費者物価(総合)、GDPデフレーター)、同経済社会総合研究所「国民経済計算」、財務省「国及び地方の長期債務残高」、日本銀行「財務諸表等」を用いて、インフレ税を機械的に試算したところ、23年度ではフローとストック全体でインフレ税収は50.3兆円と推計された。うち、所得税や消費税等のフローのインフレ税収は11.6兆円、日銀券や国債等のストックからのインフレ税収は38.6兆円であった。
消費税率(国・地方)1%あたりでは約3兆円の税収があるので、インフレ税は消費税17%弱に相当する。
政府としては、歳出削減も増税も国民の拒否反応が強い中で、26年度の概算要求は過去最大の122兆円台との報道もあるように、現状のまま歳出拡大、バラマキを続けつつも、財政再建を推進しているという体裁を整えるためには、今後もインフレ容認の姿勢を取り続ける以外道はない。
結局、政府はインフレを止めることはないし、止められない。インフレの裏側では、われわれ国民は知らず知らずのうちに増税されていることを忘れてはならない。
政府は、消費税率に換算して17%、50兆円の追加負担をインフレ税として国民に課している。インフレによる実質賃金の下落とステルス増税のダブルパンチでわれわれ国民が生活の豊かさを実感できず、日々困窮していくのは当然だ。
