2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年9月16日

 しかし今年は中国と北朝鮮の交流は深まり、両国の貿易は増大した。7月、中国大使は昨年欠席した朝鮮戦争終結記念式典に出席した。核兵器問題については、北朝鮮が核兵器の開発と保有を止めないとしており、中朝は意見を異にしている。

 2024年、中国、日本、韓国が首脳会談で非核化を追求すると合意した共同声明を出したことを北朝鮮は非難した。

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中露北朝鮮は戦勝国ではない

 この記事は中国、ロシア、北朝鮮の関係に焦点を当てた記事で、参考になる。

 ただ、中国が今回第2次世界大戦での日本の敗北を記念して大規模な軍事パレードを行うことにし、それにプーチンと金正恩を主たる賓客として招いたが、これには強い違和感を持つ。歴史を捏造または歪曲する意図を感じるからである。

 まず、ソ連(現ロシア)は対日戦勝国であるとは言えない。ソ連が日本に宣戦布告したのは1945年8月8日であり、広島に原爆が投下された2日後であり、長崎に原爆が落ちた8月9日に日本に対する戦闘を始めた。

 当時、日本とソ連は中立条約を結んでおり、第2次世界大戦のほぼ全期間、平和的関係を保っていた。ソ連の対日宣戦布告はモロトフから佐藤尚武大使に8月8日になされ、8月9日より戦争状態にあるとされた。佐藤大使はモロトフに東京に知らせる電報の発出を認めるように要求し、モロトフは同意したが、この電報は外務省には届かなかった。

 駐日大使であったマリクが東郷外務大臣に宣戦布告を8月9日に伝えた際には、マリクは日本がポツダム宣言を受け入れなかったからと述べたのに対し、東郷茂徳外務大臣はあなたはどこからそういうことを聞いたのか、我々はポツダム宣言を受諾(天皇の統治大権が維持されるとの条件付きであったが)した、と述べた。

 ソ連の良心的な歴史家、スラビンスキーは「宣戦の布告と降伏が同時になされた世界の外交史上、初めてのケースである」と『日ソ戦争』という本の中で書いている。こういう経緯であるので、ソ連はとても 戦勝国とは言えず、火事場泥棒であったとさえ考えられる。

 北朝鮮についても、朝鮮民主主義人民共和国が建国されたのは1948年9月9日であり、対日戦勝国であるわけはない。


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