中国・北京市で9月3日、「中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年記念閲兵式」(以下、閲兵式)が開催された。この閲兵式にはどのようなメッセージが込められていたのか。私たちはどのように中国を理解するべきだろうか。
もっとも有効な分析手法は2015年との比較だ。抗日戦争勝利を記念した閲兵式は、今回が同年以来の2回目となる。10年前との比較によって、中国の変質が浮かび上がる。その変化は軍事面技術面、そして国際協調に対する姿勢との2点に要約される。
軍事面技術面の躍進
閲兵式では、歩兵や戦車の行軍、軍用機の飛行などが公開された。その中には多くの新兵器が含まれている。迎撃が難しい極超音速対艦ミサイル、新型ステルス戦闘機、各種の核ミサイルなど、米国に対する抑止力となりうる兵器が多数登場した。
特に目を引いたのが数々の無人兵器だ。小型から大型まで各種のドローン、艦載無人ヘリ、水上・水中型ドローン、さらには犬型ロボットや小型車両など多様な無人システムが披露された。また、高出力マイクロ波兵器など対ドローン兵器も登場した。
AI(人工知能)やロボットなどの技術レベルが向上したことに加え、ウクライナ戦争ではドローンが戦場のゲームチェンジャーとして大活躍したことが大きい。もともと中国は「智能化戦争」対応を打ち出しており、情報化やAI導入には積極的であったが、ウクライナ戦争以後、一気に加速した。
無人兵器の開発だけではない。人民解放軍は24年に組織改編を行い、戦略支援部隊を解体し、新たに軍事宇宙、サイバー空間、情報支援、連勤保障という4つの組織を立ち上げた。サイバー戦に備えた部隊に加え、ドローン群を統制する通信ネットワークやターゲティング情報を提供し、「戦闘クラウド」と呼ばれる分散型指揮システムの中核を成すとみられる情報支援部隊の創設は近代的な軍事改革の象徴だ。
