2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年9月8日

 ニューヨーク・タイムズ紙は、ロシアは戦後のウクライナの安全の保証に加わることを強硬に主張しており、和平を巡るロシア側とウクライナ・ 欧州側の考えは大きく乖離していることが示された、とする同紙モスクワ支局長の解説記事を8月20日付けで掲載している。要旨は次の通り。

(ロイター/アフロ・ZUMA Press/アフロ)

 ロシアのラブロフ外相は、「ロシアはウクライナの将来の安全の保証にロシアも加わることを強く要求する」と述べた。ウクライナや欧州諸国にとり不条理な条件だ。

 このことは、ロシアの侵略を終わらせるための協議には今も大きなギャップが存在することを如実に示しただけでなく、「有志国連合」を募り、西側の部隊を駐留させて戦後のウクライナを守ろうとする欧州の動きと、トランプ氏がプーチン氏と進めようとしている和平合意はどう適合するのかという疑念にも拍車をかけた。

 ウクライナ支持者の大方は、2014年と22年にウクライナを侵略したロシアがウクライナの将来の安全確保の一翼を担うという考えを拒絶している。しかし、ラブロフ氏は、プーチン氏は和平合意の一環としてロシアがウクライナの将来の主権に関して決定的発言権を持つという従来の主張を変えていないと示唆する。

 一方、トランプ政権は、8月の会談でプーチンが根本的な譲歩をして、西側が北大西洋条約機構(NATO)第5条(注:集団的自衛権の規定)級の強力な安全の保証をウクライナに提供するという提案を容認した、と吹聴している。


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