2025年8月9日付のワシントン・ポスト紙 は、8月15日にアラスカでの米露首脳会談を前に、プーチンの要求とウクライナと欧州諸国が受け入れ可能な範囲との間にはなお開きがあり、米国がこれを埋められるか、幾つもの課題を抱えているとする解説記事を掲載している。
米露両国首脳は8月15日にアラスカで会談し、ウクライナ戦争にかかる停戦協定を締結して戦争を終結させることを目指す。ただしトランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領の出席については言及せず、和平合意の条件として、ウクライナがロシアに領土を割譲することが必要になる可能性があると述べた。同大統領は「双方に利益となるような領土の交換が行われるだろう」としているが、これはウクライナとその欧州支持国にとって受け入れがたい譲歩となる。
トランプの「領土の交換」が何を意味しているかは不明だ。ウクライナはロシア領クルスク州のわずか約10平方キロメートル(km2)しか支配していない。一方、ロシアはウクライナ領土の約5分の1を支配している。
ロシアは長年、2014年に違法に併合したクリミアと、ウクライナ東南部のルハンスク、ドネツク、ヘルソン、ザポリージャの4州に対する自国の支配を認めること求めてきた。ただロシアはドネツク州を完全には掌握しておらず、ヘルソン、ザポリージャについても州都には到達していない。
ウクライナは、未占領の領土をロシアに譲渡するいかなる合意も受け入れられないと明言している。本質的な問題は、米国がプーチンの要求とウクライナと欧州同盟国が受け入れられる範囲とのギャップを埋める方法を見つけられるかどうかだ。
ロシアは米国のウィトコフ特使に対し、停戦と引き換えに、ウクライナがルハンスクとドネツクを含むウクライナ東部ドンバス地方全体を放棄することを提案したと、交渉に詳しい関係者が語った。ロシアの提案によれば、クリミアの占領は正式にロシア主権下の領土として認められることになる。
ウクライナの非武装化、ゼレンスキー政権の排除、ウクライナの中立確保という戦争目的についてロシアが立場を変えた可能性は低い。ほんの数日前、プーチンは戦争終結の条件は変わっていないと主張していた。
