2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年9月8日

 トランプが拙劣な交渉をした結果なのか、あるいはプーチンが敢えて曲解してラブロフなどに説明しているのかはよくわからないが、いずれにせよ、アンカレッジの米露首脳会談はウクライナ戦争の終結にも停戦にもつながらない外交上は無意味なものであったと断じてよい。

 今後は米国、欧州諸国その他の西側諸国がウクライナの安全の保証のために何をするかを、ロシアを交えず検討し、実施していくことが肝要であろう。また対露制裁をさらに強化していくべきであろう。ロシア経済は戦時経済で、それほど悪くなってはいないが、中央銀行は利子率21%にしており、それで経済が順調に回るはずはない。

ロシア国内では不人気なウクライナ戦争

 ロシアは防衛戦争には強いが、遠征戦争ではあまり強くないように思われる。「大祖国戦争」(第二次大戦における独ソ戦)ではソ連は2600万の戦死者を出しながらナチスドイツに勝利をおさめたが、アフガニスタンでの介入戦争では戦死者が2万人に達しそうになった時に、戦争をやめ、撤退した。

 今度のウクライナ戦争でのロシア側の死傷者は既に100万人を超えている。それに加え、戦争を嫌って国外に逃れたロシア人の若者の数は100万以上と言われている。

 ウクライナ戦争はロシア国内で不人気な戦争であると考えても間違いではない。プーチンは総動員令を出せない状況にある。今後の対応を考える上で、こうしたことも考慮すべきと思われる。

空爆と制裁▶Amazon
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る