2025年12月5日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年9月23日

 注目すべきは、江原道を韓国文化の新たな聖地として再生させる構想だ。江原道東北部の束草市と南部の原州市に2万人規模のK-POPスタジアムを建設し、「韓国文化観光ベルト」を構築する計画は、「規制の地域」から「機会の地域」への転換と歓迎されている。急増する韓流ファンの外国人観光客を江原道に呼び込めば、地域経済の活性化は確実だろう。

 ちなみに、冒頭で江原道が北朝鮮に接していると紹介したが、正確には南北にまたがる江原道が38度線で分断された状態にある。そのため、江原道は韓国と北朝鮮の両方に存在する。今年5月、北朝鮮の金正恩国務委員長がオープンセレモニーに出席した「元山葛麻海岸観光地区」も江原道に所在する。

イージス艦に儒学者の名前をつけるセンス

 18日のヘッドラインは、正祖大王級イージス駆逐艦(基準排水量8200トン)の2番艦「茶山丁若鏞」がHD現代重工業の蔚山造船所で進水したことを伝えたもの。正祖大王級は世宗大王級に続く2世代目のイージス艦で、1番艦は2024年12月に就役した。

 艦名になった丁若鏞は李氏朝鮮時代後期の儒学者で、近代志向の思想・学問である「実学」運動を集大成させた人物。氏名の前についている「茶山」は雅号を指す。韓国では歴史的な人物を表す際、雅号を冠することが多い。

 日本にたとえれば、江戸時代の儒学者である林羅山や荻生徂徠の名前を護衛艦に命名するようなものなので、かなりの違和感を抱いてしまう。だが、海外では人名を艦名にすることはポピュラーだ。米国、英国、ロシアがそうだし、北朝鮮も最近はこれにならっている。

 その背景には、各国海軍の軍艦命名基準がある。韓国海軍の基準では、潜水艦は「海に関連する人物、独立有効者」、駆逐艦は「歴史的人物」となっており、艦名には韓国の世相が反映されている。特に潜水艦は、盧武鉉政権以降に建造された孫元一級9隻のうち6隻、道山安昌浩級は3隻すべてに独立運動家が命名されており、日本への潜在的な恐怖心や対抗意識が垣間見られる。

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