2025年12月5日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年9月17日

 今年で12回目を迎えるソウル安保対話(SDD2025)が開かれ、各国の国防相らが集まり、軍事外交が展開された。そして、10年ぶりとなる日韓防衛相会談も行われた。一方で、100日間のハネムーン期間を終えた李在明政権は、国防・安全保障政策で新機軸を打ち出しているが、多くの成果は尹錫悦政権のレガシーによるものだ。

2025ソウル安保対話と日韓防衛相会談

 9月8日から10日まで開催された「2025ソウル安保対話(SDD:Seoul Defense Dialogue 2025)」は、韓国が目指す「グローバル中枢国家」としての地位を象徴する重要な外交舞台となった。68の国と国際機関から1000人以上が参加した会議は、「地政学的挑戦の克服 協力を通じた平和構築」をテーマに、分裂と対立が深刻化する国際社会における多国間協力の可能性を探った。

 特に注目すべきは、安圭白国防長官が開会辞で示した「強力な抑止力と警戒態勢を基盤とする、緊張緩和と信頼構築を並行するツートラック・アプローチ」だろう。これは李在明政権の安保政策の核心を成すもので、従来の軍事的対立から脱却し、対話と抑止の均衡を図る現実的戦略を土台とする。

10年ぶりに行われた日韓防衛相会談(防衛省HPより)

 もう一つは、安国防長官と中谷元防衛相との会談だ。2015年以来10年ぶりに日本の防衛相がソウルを訪問して実現したこの会談は、両国関係正常化60周年という節目に行われた。両者は北朝鮮の核・ミサイル脅威への対応で日米韓協力の継続を確認するとともに、AI、無人、宇宙など先端技術分野での協力可能性を模索することで合意した。

 SDD2025では日韓会談以外にも、北大西洋条約機構(NATO)軍事委員長やアジア・アフリカ諸国の国防長官と二者会談が行われた。これは韓国が米国との同盟を基軸としながらも、グローバルな多層的軍事外交を構築していることを示している。また、AIと融合したサイバー脅威への対応や商業的宇宙利用など、従来の軍事概念を超えた新領域での協力議題が議論された。これは韓国が「橋渡し外交」を超えて、技術革新をリードする「規範設定外交」の展開を模索していることを意味する。


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